編 集 後 記】(8月号)

 ▽近年、中国の大学での日本語教育と日本研究は、大きく変化しています。研究分野が広がり、教育目的が実用化しているだけでなく、人材育成の方法も多様化しているようです。しかも、いまでも日本語は、英語に次いで学ぶ人数が多い言語となっています。教育者と学習者には、どんな観念的変化があり、日本語教育そのものの変化は、中日関係の未来にどんな影響を与えるのでしょうか。

 ▽締め切り直前に、北京理工大学の田端道子先生より、電子メールを受け取りました。本誌の熱心な読者であるという彼女は、長年の中国滞在を終えて近く帰国します。それに合わせて、中国への思いを綴ってくれていました。靖国神社問題にも触れた文章は、感動的です。59年前に終わったあの戦争を記念して、8月号に掲載しました。
 
▽もう一つ、戦争と関連する話題を掲載しています。北京にある中日友好病院の葉綺先生は、戦後も中国に残り、新中国の建設に参加した日本人です。彼女が先ごろ、北京でその一生を終えました。彼女の死は、一つの時代の終わりを象徴しているかのようです。葉先生を悼んで、中日関係史学会の朱福来副会長にご寄稿いただきました。
 
▽本誌カメラマンの魯忠民が訪日し、有意義な活動に参加しました。埼玉県幸手市の中学生と、河北省の山村の中学生の交流活動です。若い世代の相互交流、しかも中国の貧困地域の中学生と日本の子どもが日本で交流できたことは、相互理解のために、大きな意義があります。魯忠民が日本で触れた感動が、そのまま伝わることを願います。(編集長 王衆一)