チャイナスコープ
優位性活かした共同発展
「汎珠デルタ」の経済協力
 

 

 広東省は5月末までに、省外への進出を模索する企業を組織し、数回に分けて広西、湖南などの投資環境の視察を行った。

 そして200近いプロジェクト契約を結び、契約総額は844億元に達した。これらは、「汎珠デルタ」で展開される大規模な経済協力の前奏曲と見られている。

 「汎珠デルタ」の概念は昨年7月、広東省で初めて提起された。広東省とその周辺の省・自治区、珠江流域の省・自治区の経済協力を推し進めることを目的に付けられた呼び名である。

 主に、福建、江西、湖南、広東、広西、海南、四川、貴州、雲南の九省・自治区に、香港、澳門(マカオ)の二つの特別行政区を加えた地域を指し、通常、「9+2」と呼ばれている。

 九省・自治区の面積は全国の5分の1、人口とGDP(国内総生産)はそれぞれ全国の3分の1を占める。「9+2」はさらに香港、澳門を加えた地域であり、その経済的重要性は非常に高い。

 現在、香港はアジア・太平洋地域の国際物流センター、金融センター、貿易センターとして、優良なサービス体系を有し、広東も資金、技術、管理、人材、情報などの分野で一定の優位性を持っている。

 しかし、広東、香港、澳門はともに、エネルギーや土地などの資源が著しく乏しいという問題を抱えている。一方で周辺の八省・自治区は、自然資源、労働力、マーケットなどでは総合的に優位性がある。そこで、それぞれの優位を活かし、資源を共有する地域間経済協力体制を構築する必要性は、きわめて高い。

 「9+2」は六月はじめ、香港、澳門、広州でそれぞれ、第一回の「汎珠デルタ地域協力経済フォーラム」を開催し、『汎珠デルタの地域協力覚書』に署名した。基本合意したのは、ビジネス認証、貿易、農業、産業及び投資、科学技術、エネルギー、交通、情報交流、観光、環境保護、労務など十の分野で、様々な協力を行うことである。

 これは、香港、澳門の経済的繁栄の促進、内地の東中西部の協調発展、優位性共有につながり、中国とASEAN(東南アジア諸国連合)の協力と、アジア地域協力の発展を推し進めるために、重要な意義がある。