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真贋論争に決着がついた 青銅神面ユウ
 
   文=魯忠民 写真=保利芸術博物館提供


青銅器  西周(紀元前約11世紀〜同771年) 高さ33.8センチ


 

 現存する中国の青銅器は非常に多く、素晴らしいものも少なくない。だが、一目見たら忘れられない珍品となると、指を折って数えられるくらいしかない。保利芸術博物館に収蔵されている逸品である早期西周時代の「神面ユウ」は、そのうちの一つであり、その造型は、青銅器の中で独特のものである。

 この青銅製のユウは、三千年前に造られた。ユウの本体と蓋の両面にはすべて、神面が鋳造されている。神面は、頭に二つの角をもち、両眼を大きく見開き、大きく口を開け、二つの犬歯をむき出し、猛々しく、人々の魂をおびえさせる。

 ユウの取っ手の上には、尾が一つになっている二匹の竜の装飾がある。ユウの両端には、鼻は象、頭は牛、角は羊という怪獣がついている。

 ユウの底辺部分の円形の足には、頭が一つで体が二つの蛇の装飾があり、取っ手の二匹の竜と呼応している。

 ユウの装飾はすべて、非常に複雑で、強い芸術的な衝撃力を有している。

 1990年代に、このユウは世に出てきた。かつてないその造型と装飾は、多くのコレクターを魅了し、日本のある収蔵家が真っ先に高値でこれを手中に収めた。しかし、思いもかけず、恐るべき情報が国際的な骨董市場に流れた。欧州のある大収蔵家が、このユウは贋作だと述べた、という情報である。これを聞いた日本の収蔵家は、慌てて返品した。

 ユウの持ち主は、身の潔白を証明しようと、ユウを英国のオックスフォード大学に送り、鑑定してもらった結果、このユウの製造年代は信用できることが証明された。しかし、贋作説は根強く、依然はっきりしなかった。このため、一時期、だれも危険を冒してまでこのユウを求めようとはしなかった。

 1999年8月、保利芸術博物館はこのユウをとり寄せ、中国でもっとも権威のある文物鑑定家たちに鑑定させた。その結果、鑑定家たちは一致して、この青銅器が現代人の空想の産物ではないと認めた。

 1999年10月、神面ユウは保利芸術博物館に展示され、大きな反響を引き起こした。これを贋作と断じた欧州の大収蔵家も納得し、このユウは非常に素晴らしいと賞賛した。いったん手中にした宝を失った日本の収蔵家は、おそらく大いに悔やんだことだろう。

 

 
 

保利芸術博物館
 


 保利芸術博物館は、北京市東直門南大街の保利大廈の2階にある。1999年12月に正式オープンした。これは中国で初めての大型国有企業が興した博物館である。

 中華民族の優秀な文化芸術を広め、称揚し、海外に流出した中国の貴重な文物を救い、保護し、企業文化の建設を推進するというのが、この博物館のモットーである。

 以来、3年余り。博物館は「多くのもの、全面的なものを追求するのではなく、素晴らしく、珍しく、貴重なもののみを求める」というコレクションの原則に基づき、積極的に国内外から中国の国宝を救い出し、保護してきた。2000年春には、巨費を投じ、香港で開かれたオークションで、海外に流出した円明園の3点の国宝――牛首銅像、虎首銅像、猴首銅像を競り落とした。これによって再び国宝が海外に流出することを防ぎ、中国社会から賞賛された。

 現在、保利芸術博物館はすでに、中国における著名な博物館の一つに数えられるようになったばかりか、「中国大陸でもっとも近代化された設備を備えた博物館」として内外に認められている。

 この博物館内には、二つの専門テーマの陳列がある。一つは「中国古代青銅芸術精品陳列」で、商(殷)代早期から唐代(紀元前約16世紀〜紀元907年)の間の青銅器の逸品150余点が展示されている。この展示は、中国古代の青銅文明独特の魅力に溢れており、中でも商代の「三牛首獣面紋尊」や西周の「神面ユウ」などは、どれも非常に珍しいものである。

 もう一つの陳列は「中国古代石刻仏教造像芸術精品陳列」で、北朝から唐代まで(386〜907年)の40余の石刻仏像が展示され、これによって、絶頂期にあった中国仏教芸術の姿のアウトラインを知ることができる。驚くべきことは、ここに展示されている石刻のほとんどすべてが国宝級の文物であることだ。


開館:(月)から(土)9:30〜16:30 日曜休館