【編 集 後 記】(9月号)
▽昨年五月号で、「北京に甦る『水のある風景』」という特集を組みました。今月号も水のある風景、「什刹海」の特集です。北京に足を運んだことがある方には、なじみのある地名でしょう。梅原竜三郎さんが描いた古い北京は、殊に有名です。しかし近年の商業開発が、同地に大きな変化をもたらしています。「北京のセーヌ川」と呼ぶ人さえいるほどですが、同時にかつての静寂が失われたことを嘆く人も少なくありません。特集から、変化を感じていただければ幸いです。
▽「モノ消費社会」となり、今日の子どもは、親の世代は触れることのなかった数々の玩具で遊ぶことができるようになりました。そして都市に暮らす人々は、速い生活リズムの中で、経験したことのない焦慮に駆られています。玩具が大人の「癒し」に一役買っているのは、このためでしょう。遊びが多様化してきたことを受けて、「我遊ぶゆえに我あり」というタイトルをつけました。
▽「がんばれ東北! 応援歌」の筆者である杉崎専門調査員は、瀋陽に着任して日が浅いですが、同地の文化に魅せられ、「二人転」に強くひかれています。広い中国を日本の皆さんに知っていただくためには、このような地方からの報告は貴重で、本誌の内容をさらに豊かなものに変えてくれます。
▽北京放送の王小燕さんは、大相撲の「通訳奮闘記」を寄せてくださいました。彼女の細かな観察力、独特な感性が、文章に生き生きとした力を与えています。私も王小燕さん同様、「触れ合うこと」こそ、大相撲中国公演の意義だったと思っています。
(編集長 王衆一)
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