[表紙のひと]

大衆の声を聴く胡錦涛主席

 

 今年83歳の閻連秀さんは、河北省平山県西柏坡村に住む農民だ。2002年12月6日、閻さんの家はある特別な客を迎え入れた――中国共産党中央委員会総書記で、国家主席の胡錦涛氏だ。

 大雪の降った日だった。閻さんの家の門が突然、開いた。そして老人の出迎えを待たずに、胡錦涛主席がにこにこしながら入ってきたのである。主席は老人の手をしっかりと握り、感情を込めてこう聞いた。「お元気ですか?」。閻さんは目に涙を浮かべて答えた。「はい! 元気ですとも! 総書記!」

 胡錦涛主席はオンドルの縁に座り、老人の耳元に近づいて聞いた。「おいくつですか? 暮らしはいかがですか?」「83歳になりました。婆さんを早くに亡くしましてね。娘は洛陽で働いています。村の幹部たちも、とても良くしてくれますよ!……」。老人は、生粋の地元なまりでそう答えた。胡錦涛主席は笑って言った。「あなたのなまり、聞き取れますよ。私のなまりもわかるでしょう。私たちの話はなかなか合いますね!」。その言葉は、室内にいた人たちをドッと笑わせたのだった。

 のちに閻さんは、地元の人たちに何度もこう言ったという。「総書記はまるで庶民のようだった!」

 これは、胡錦涛主席が中国の新しい指導者として初めて、河北省・西柏坡を視察したときのエピソードの一つである。主席は、視察の際に強調していた。「大衆の声に耳を傾け、民衆の気持ちを考え、大衆の苦しみに関心を寄せなければならない」。中国の新しい指導者たちにとって、この言葉は、彼らの庶民への真の姿勢を表しているのであろう。

そして今年、中国は建国五十五周年を迎えた。
 
写真・新華社提供 文・王浩