[特別寄稿]

 
 
駐日記者が築いた掛け橋
 
                        日本国際貿易促進協会理事長 中田慶雄

中華全国新聞工作者協会の邵華沢主席が書いた文集の題字

 日中記者交換40周年を記念し、日中友好と両国間の報道・文化事業の交流と発展のため、中日新聞事業促進会から文集『駐日記者40年』が出版されました。

 日中両国は一衣帯水の隣国で、その友好関係は二千年以上の歴史があります。新中国成立後、日中関係は依然として正常化されていない状態にありました。両国民と有識者たちのたゆまない努力と協力により、日中関係は民間交流のレベルから経済貿易分野における半官半民の提携へと発展しました。こういった動きを背景に、数年の準備の後、1954年、時機に応じて日本国際貿易促進協会(国際貿促)が設立されました。それからの50年、国際貿促は日中間の経済貿易交流と友好協力の促進と発展に貢献してきました。

 1962年11月、周恩来総理の配慮のもと、廖承志(華僑事務委員会主任)、高碕達之助(元通産相)両氏によって『日中覚書貿易協定』(LT貿易協定)が調印されました。1964年4月、双方は 貿易の代表事務所をそれぞれ設け、常駐記者交換を始めました。友好貿易と 貿易は、友好協力推進の二本柱として積極的な役割を果たし、後の国交正常化と友好協力の堅固な基礎となりました。

元駐日中国人記者と一緒に(中央が筆者)(写真:李徳安氏提供)

 ジャーナリストは時代の証人であり参与者でもあります。駐日中国人記者は、両国間の友好・交流の推進や疑いをなくし信用を築き上げることを自らの責任とし、広範囲にわたって日本を取材してきました。日本の歴史的事件を忠実に記録する先駆者であり、日本の動向を見つめる良き観察者です。同時に、日本各界の人士と広く付き合い、両国間の交流と相互理解、友好関係を促進する掛け橋となりました。これは非常に得難いことです。

 40年間の日中関係における、輝かしい成果、友好美談、困難や苦労、紆余曲折などすべてがこの回想録に収められています。駐日中国人記者が書いた文章の一つひとつが、いずれも忘れられない歴史を再現させています。その一瞬一瞬が、重要な歴史事実や美しい思い出として残ることでしょう。40年間の交流と友好協力の歴史をこのような「立体絵巻」の中に留めることは、両国民に尽きることない回想と大きな力を与えてくれます。

 情報化とグローバル化が進み、人々はメディアが社会を先導し巨大な影響を及ぼすことをさらに認識するようになりました。駐日中国人記者は両国間の相互理解を増進させ、善隣友好関係において大きな役割を果たしています。彼らが先輩記者たちの奮闘と現実を重んじる精神を継承・発揚し、日中の友好関係発展のために栄誉ある重大な使命を実行して、新たな貢献をしてくれることを期待します。