頤和園の長廊画@ 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

桃園に義を結ぶ

 物語は中国の古典小説『三国演義』の一節である。作者は羅貫中、元代末期から明代初期(14世紀)に著された。

 後漢(25〜220年)末期、中国北方で「黄巾の蜂起」と呼ばれる農民暴動が起こり、時の朝廷を震撼させた。

 前漢・景帝のやしゃごの劉備(字は玄徳)は、大志を抱いて、天下の豪傑たちとの友情を育んだ。菘県の屠殺業者であった張飛(字は翼徳)は、カッと目を見開いた強面であった。山西省・解州人の関羽(字は雲長)は、仁義を重んじ、勇敢であった。

 こうした3人がはからずも出会い、胸中の思いを語りあって意気投合した。翌日、彼らは桃園に酒席をもうけ、天地の神を「証人」として、兄弟の契りを結んだ。一致協力して国を救い、民を助けることを決心したのだ。その後、3人は志を同じくし、天下の大事業――蜀の国の創建をなしとげた。

 「桃園に義を結ぶ」の彩色画は、頤和園長廊の「邀月門」を西へ進んだ内側の梁にある。

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

  本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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