チャイナスコープ
中国・ASEAN博覧会
FTA締結に向けた確かな手ごたえ
 
                                        張春侠=文・写真

第1回「中国・ASEAN博覧会」の開幕式
 「わが社の製品の売れ行きが、こんなに良いとは!」

 2004年11月、広西チワン族自治区南寧市で開催された第一回中国・ASEAN博覧会でマレーシアから参加した王家恵氏は、満面に笑みをたたえ、興奮しながらそう語った。博覧会初日、彼の会社が出品した金メッキの錫製工芸品の販売額は2万元(1元は約13円)近くに及んだ。そして今回の博覧会の取引総額は十億三千万ドルに達した。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)はインドネシア、マレーシア、フィリピンなど東南アジア十カ国からなる機構。1990年以降、中国と ASEANの貿易額は年間平均20%の成長を続けている。2003年、双方の貿易額は782億ドルに達し、前年比42・8%増、今年1〜9月の貿易額は754億5300万ドルに達し、前年同期比35・6%増となった。現在、ASEANは11年連続で、中国の五番目の貿易パートナーとなっている。

 2002年11月4日、中国とASEAN各国は『中華人民共和国・ ASEAN経済協力枠組み協定』を締結し、中国・ASEAN自由貿易区の第一段階が始まった。今回の博覧会の成功はこれを大きく推進させるものであった。2004年11月、双方は貨物貿易協議に調印した。規定によると、2005年から、自由貿易区で税金の引き下げを実施、2010年には、大部分の商品の関税を撤廃する。FTA(自由貿易協定)締結に向けて、本格的なスタートを切ったのである。

 2010年に予定されているASEANとのFTAは、中国が他の国家や地区と結ぶ初めての である。その加盟地域は、あわせて17億の消費者を擁し、地域内の総生産は約2兆ドル、貿易総額は1兆2億ドルの経済地区となる。人口からみると、まぎれもなく世界最大で、経済規模でも、EU(欧州連合)とNAFTA(北米自由貿易協定)に次ぐ世界三位の自由貿易区となる。

 経済のグローバル化の中で、この自由貿易区の設定はアジアの経済発展と振興を促進させる大きな力である。また、中国とASEANの経済や貿易における国際的な地位を高め、二十一世紀上半期の世界経済と政治に大きな影響を与えると考えられる。


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