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映画 『2046』
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監督・ウォン・カーウァイ 主演・梁朝偉(トニー・レオン)、章子怡(チャン・ツィイー)、木村拓哉 |
南洋諸島を長年、流浪していた周が香港にもどり、ホテルの2047号室に泊まっていた。壁の穴から、隣の2046号室のさまざまな人間模様をのぞき見ていたのである。夜の生活が多彩に繰り広げられるなか、周はたえず自らの過去を振り返っていた。ある日、ホテルのオーナーの娘のために、小説を書き始める。それが『2046』であった……。 2000年、香港の監督ウォン・カーウァイの映画『花様年華』が、アジアの映画界において大きな反響を呼んだ。妻のある周と、夫のある蘇のつかの間の恋の物語。孤独な2人はつかずはなれず、互いを哀れんでいたのだが、最後に周がひとり香港を離れて南洋諸島へ向かうところでラストを迎えるのである。 『2046』はそんな『花様年華』の周が香港に戻ってからの物語である。続編のようにも見えるが、じつはその風格がまったく異なる。『花様年華』で、静かで厳格な人間に描かれた周は、ここではまるで別人のようである。自分の感情を極力おさえたキャラクターから、気まぐれなプレイボーイへと180度転換している。変わらないのは内心の孤独だけ。映画ではまさに都会人の孤独をあざやかに映し出し、ウォン・カーウァイ作品のなかでも大きな人気を博したのだ。 『2046』の公開は、『花様年華』の公開からすでに4年近く経っていた。多くの人たちが「観客の熱がもう冷めたので、この映画はおもしろくないだろう」と予言した。しかし、昨年の中秋節(9月28日)の夜に公開された本作品は、全国で興行収入260万元(1元は約13円)を軽く突破、上海だけでも40万元以上に達したという。リサーチによると当日、ジャッキー・チェンの『新警察故事』(ニュー・ポリス・ストーリー)が同時上映されたにもかかわらず、調査を受けた40%近くの人々が(二者択一を問われて)、「『2046』を選ぶ」と答えたという。(写真提供・新浪娯楽)
1990年代の日本。沈之萍と沈小路の姉妹が、上海から日本にいる父を探しに赴いた。偶然にも発見されたその父・沈家康は、50年前に日本軍が残した秘宝の地図と密接なかかわりがあった。第2次大戦の宿怨と秘宝の地図で争奪戦が繰り広げられ、沈家3世代の運命をすっかり変えてしまうのだった……。 このテレビドラマは、1994年に出版された作家・呉民民の同名小説を改編したもの。原作は中日両国の50年来の微妙な関係を客観的かつ冷静に描き、両国読者の人気を博した。テレビドラマは、中国内地で中日関係をテーマとしたテレビドラマのさきがけになったといえる。 中国映画『笑傲江湖』で知られる監督・黄建中と、日本映画『人間の証明』『君よ憤怒の河を渉れ』の監督・佐藤純彌が共同製作した。1990年代初め、黄建中が中国映画代表団で訪日したとき、佐藤純彌と知りあった。2人はすぐに気心が知れ、深夜まで語りあった。そして、「合作映画を作りましょう」と言って別れた。10年の歳月が流れ、合作したのが映画ではなく、このドラマ『世紀末的晩鐘』となったのである。 近ごろ人気急上昇の2人の新人、黄奕と是近敦之が恋人役を演じている。上海でのプレミアショーに参加した2人は、そこで一番のスポットライトを浴びていた。(写真提供・中国音像商務網) |
推薦書 |
成喩言・著 『梅蘭芳画伝』
1894年10月22日、梅蘭芳(もとの名は梅瀾、字はム華、または浣華)は、北京・前門外のある「梨園世家」(京劇の名門)に生まれた。10歳のときに『天河配』で初舞台を踏んでから、生涯その精力を京劇芸術に注いだのである。主演した『覇王別姫』『貴妃酔酒』『宇宙風』などは、広く知られる代表的な演目となった。 60年におよぶ役者生活においては、伝統を継承するという基礎の上にたち、果敢にそれを刷新し、中国の戯曲芸術を発展させ、独特な風格をもつ芸術流派「梅派」を確立させた。梅派の特徴は、青衣(しとやかな娘)、花旦(おてんば娘)、刀馬旦(武芸にすぐれた青・壮年女性)の女形の表現方法をとりまとめ、まろやかで艶のあるうたいと豊かな感情表現を、自然でありながらも洗練したこと。演じた役柄は、古代人から近代人、また人間から神仏までと幅広い。とりわけ文学名著を改編して演じたこともあり、京劇の演目を非常に豊かにしたのであった。 本書の作者は、多くの資料と写真を使って、梅蘭芳の真の生涯を紹介している。梅蘭芳の生誕110周年にあたり、本書はそのすばらしい記念となった。(団結出版社) 北村・著 『憤怒』 小説の主人公・李百義は、新しい生活を求めて、農村から都市へとやってきた。しかし、現実は想像から遠くかけはなれていた。一連の不公正な待遇を受けたあと、彼は窃盗、殺人、逃亡、そして懺悔を余儀なくされる。そして、最後に西部へと向かうほかなくなるのだった。 全編ルポルタージュ風であるのが、この小説の特徴だ。西部へ向かう李百義の懺悔と精神的なつらさを通して、現代中国人の罪と愛を追究するとともに、現代人が直面する真の境遇を明らかにしている。 作者の北村は、現代中国の著名作家だ。80年代には、前衛文学の代表作家であった。その後、彼の作風はだんだんと前衛文学から離れ、アイデンティティーの追究に目覚めだした。彼の作品『周漁的喊叫』(周漁の叫び)は、鞏俐主演の映画『周漁的火車』(たまゆらの女)に改編されて一世を風靡した。(団結出版社)
山東曲阜師範大学文学院の劉炳范教授は、3年あまりの歳月をかけて、中国社会科学基金プロジェクトの1つである『日本戦後文化の戦争認識理念批判についての研究』を完成させた。その一部を整理して、まとめたのが本書である。 詳細な事実によって、政治、社会、文化などから多角的に戦後日本の数十年間における戦争認識の発展と変化について論述している。とくに、戦後日本文学の発展と変化、そこから現れた戦争認識と反省の思考に重きをおいて論述している。多くの戦後日本の作家と作品が鋭く分析されており、そこから作者がこのテーマを成功させるために、いかに多くの心血を注いだかがわかるのだ。(中国社会科学出版社)
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『人民中国』おすすめのベストテン 1、『食為天――北京飲食指南』 |
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