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写真集の宣伝のため来日して、宿泊先のホテルに大勢のファンが押しかけ、怪我人まで出たあの「ヨンさま」。ハングルを習い、韓国のロケ地に出かけて行く中年の主婦たち……。このすさまじい「韓流」を、東京にいる私はひしひしと感じています。 これと同じような現象は、中国でも過去にあったような気がします。二十数年前のことです。日本の映画『君よ 憤怒の河を渉れ』が、中国では『追捕』というタイトルで上演され、大変な人気でした。主演の高倉健と中野良子は、知らない人がいないくらい有名になりました。 テレビドラマの『血疑』(『赤い疑惑』)の山口百恵は、中国の若者たちの間で、恋人の理想像となりました。 こうした映画を通じて、多くの中国の人々が、戦後日本について新しいイメージを心に描いたのです。 昨年末、東京で開かれた「未来に向かう日中関係」シンポジウムで、パネラーとして来日した弊誌編集長の王衆一は、『君よ 憤怒の河を渉れ』などを例にあげながら「大衆文化の相互浸透は相手国を等身大に認識する上で、政治、経済と並ぶ第三の重要な要素ではないか」と述べました。 |
私もまったく同じ考えです。映画やテレビドラマなど大衆文化がその国の理解に役立ち、好感度をアップさせることは間違いありません。 高校を卒業し、大学の専攻を選ぶ際、外国語大学の日本語学部を選択したのも、こうして築かれた日本イメージが大きく作用したのです。 話は変わりますが、横浜に山手中華学校があります。この学校は、孫文の提唱で設立され、すでに百年以上の歴史を持っています。 これまではもっぱら華僑・華人の子弟がここで学んでいたのですが、驚いたことに最近、日本人子弟の入学者が増えています。潘民生校長によると、398人の在校生のうち、20%前後が日本人の子どもだそうです。 中国語と日本語で授業が行われている中華学校に、どうして日本人の子どもが来るのでしょうか。この学校は、日本の普通の学校としては認められていないので、日本の高校、大学に進学する際には難しい問題があるのに、それを覚悟でこの学校に来る理由は何なのでしょうか。 聞いてみると、日本人の多くの親たちは、中日両国の言語と文化を同時に習得することが、子どもたちの将来にとって役に立つと考えているのです。 21世紀、中国はますます重要な国となり、中日間の貿易や往来は、さらに発展する。そうなれば、中日の二カ国語を話し、その文化を理解する人材が必要になる。そんな人間に育ってほしいというのが親たちの願いなのです。 中華学校はいまや、中国と日本の文化交流の重要な場所となっています。楽しそうに仲良く遊んでいる日本人と中国人の子どもたちの笑顔を見ていると、中日関係の未来は、決して暗くないと感じます。 言葉や文化は、互いに理解しあうための重要な手段であり、今後その重要性はますます大きくなるだろうということを、「韓流」の中で考えました。 |
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