東京支局長 林崇珍

 



   

 大晦日、日本列島は雪でした。

 この日私は、日本で研修中の弊社の女性スタッフ三人と、神奈川県相模原市に行きました。『人民中国』の愛読者、正奈史さんから「お正月を私の家で迎えてみない」と招待を受けたからです。

 正さんは六十六歳。古流松月会の華道の先生です。大学の先生をしていたご主人は十三年前に亡くなり、今は息子さん夫婦と二人の孫といっしょに住んでいます。

 大晦日は、息子さん一家はお嫁さんの実家で新年を迎えるので、私たちがホームステイして、賑やかに新年を迎えることになりました。私にとっては、初めて体験する日本のお正月です。

 正さんがわざわざ作ってくれたチラシ寿司を食べてながら、みんなでNHKの「紅白歌合戦」を見ました。韓国の歌手が登場すると、「去年は中国の女子十二楽坊が出たのにね」と、少し残念な気持ちになりました。

 それが終わってから、地元にある顕正寺へ出かけました。除夜の鐘を撞いたあと、今度は近くにある二宮神社に初詣です。ここも人の波でした。

 
 


の人々は、さまざまな願いをこめて祈る

 寝る前に、年越しソバを食べ、元旦にはおせち料理とお雑煮を食べました。

 これが日本の典型的な新年の迎え方だそうです。中国の春節(旧正月、今年は二月九日)と比べると、よく似たところが多いと感じます。

 私は客家(漢族の一種)の出身で、故郷は福建省龍岩市です。客家は、集落ごとに、「公王」という地元の守り神をもっています。年越しの期間、必ず毎日一回、「公王」の前にお供えものを並べ、線香を立ててお祈りをします。客家にとって「公王」は、日本の神社のような存在なのです。

 春節のとき食べるのは「年ク竅vです。中国風の餅で、私の故郷では、もち米でつくって、菜種油で揚げます。

 客家は、どんなものにも神様が宿っていると信じています。新年になると、椅子や机などの日用品はもちろん、農具や豚小屋などにも、また最近ではモーターバイクにも、吉祥と魔よけの赤い紙を貼るのです。

 「中国と日本は、同じ文化圏に属しているのだな」とつくづく感じます。それなのに最近の中国と日本の関係は、なぜ「政冷経熱」というような現象が起こるのか。これほど近い文化をもっていることを認識し合えば、自然に親近感が湧いてくるのではないでしょうか。

 中国には「雪は豊年の兆」という諺があります。大晦日に降った雪に、私は神社で「今年こそ、中国と日本の関係が良くなりますように」と祈願しました。


 
 

  本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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