▼特集 西部大開発を引っぱる 人口世界一の巨大都市・重慶 |
水運が物流の中心に
長江は、中国のもっとも長い大河である。この長江を、自動車や石炭などを満載した貨物船が、ひっきりなしに上り下りしている。 重慶は、長江の上流にある大都市で、中国の西南部の内陸にある。有名な三峡下りの起点となっている。辺鄙なところに位置しているが、長江の流れによって下流の武漢、南京、上海など長江沿岸の十数の大中都市と密接につながっている。 陸路の交通がまだ発達していなかったころは、長江が、重慶と中国東部や海とを結ぶもっとも重要なルートだった。しかし1950年代、道路や鉄道が急速に発展する一方、長江上流の船舶の航行能力には限界があったため、長江の重慶地区の水運はいったんさびれてしまった。 だが今、湖北省宜昌市三斗坪に建設中の三峡ダムの工事が進み、ダムは135メートルの貯水ラインまで水を貯めた。これによって三峡の上流の水位も数十メートル上昇した。
川面は広くなり、大きな船が通れるようになった。長江は中国西南部と華中、華東を結ぶ黄金の水路となり、また新たに生気を取り戻した。 重慶市交通委員会の何昇平主任によると、この2年間、重慶の水運量は増加し続け、2004年には、水運が重慶のもっとも重要な運輸の手段となった。しかも重慶の対外貿易の物資は50%が水運を利用している。今後、三峡ダムの貯水ラインが175メートルになれば、一万トン級の船舶が、長江をさかのぼって重慶まで来られるようになるという。 中国の指導者は、重慶市の発展目標を「長江上流の経済センターとして建設すること」と提起した。これが重慶の重要な発展方向となっている。 長江の水運建設をさらに進めるため、重慶は、航路の浚渫と同時に、水運のインフラに対する資金投下を増やしている。九竜坡などの古い埠頭を拡張、改善し、万州、寸灘にも新たな大型の港を建設した。 いまや長江上流の岷江、沱江、嘉陵江の沿岸の四川省、貴州省から、物資が絶えず重慶に集まって来て、よどみなく外に運ばれてゆく。重慶はまさに中国西南部の重要な物流ターミナルになっている。
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