『神路図』は、ナシ族のトンパ教が、葬儀・埋葬、済度(読経で死者を苦界から救うこと)の儀式に用いる長編絵巻だ。描かれている内容は、人の死後、その亡霊が地獄からさまざまな苦難をへて人として生まれ変わり、トンパ祭司によって神界と天上にある33階の遠い道に導かれる、というもの。それは中国の「古代宗教絵画、第一の長巻」と称されている。
葬儀・埋葬の儀式では、トンパ祭司たちが『神路図』を開いて、経文の『引神路経』を読みあげる。霊たちを絵の底から済度するのである。
この『神路図』(清代)は、雲南麗江のトンパ文化博物館に収蔵されている。全長14.35メートル、幅34センチ。絵巻には合わせて410あまりの妖怪、神霊、トンパ祭司などの人物と、100以上の形態のさまざまな動物が描かれている。神秘的でふしぎな鬼神の世界を表現しているのである。そして、それは古代宗教文化の大作だといえよう。
本書は、この『神路図』を紹介するとともに、多数の解説を加えている。中国語、英語、日本語の3カ国語が併記されているので、各国の読者に親しんでもらえることだろう。
(雲南美術出版社)
1966〜76年の「文化大革命」(文革)時代、新疆ウイグル自治区ウルムチで、劉愛と同級生たちは、若い英語教師の王亜軍に出会った。上品で慈愛に満ちた教師の気質は、生徒たちに強い影響を与えることになる。はるかなる天山山脈のふもとにあって、劉愛と同級生たちは、熱狂的に英語が好きになっていく。動乱の時代、社会の良からぬ雰囲気は、子どもたちの心に強い衝撃を与えた。劉愛と教師とのふれあいにも、しだいに多くの奇妙なできごとが発生していき……。
小説は、あの特殊な時代における人間性への蹂躙(じゅうりん)や心の歪みを、一人の子どもの視点で描いている。文章は流れるように美しく、簡潔ながらもその内容は深刻である。「中国2004年長編小説年度賞」を受賞した、すぐれた文学作品である。 (人民文学出版社)
愛する人に料理を作り、食べてもらうのは幸せなことである。愛する人が作った料理を食べるのは、もっと幸せであるだろう。本書の作者である梅子は、やさしく平淡な文章で毎日のこまごまとした生活を描きながらも、読者のためにおいしい手作りの料理を紹介している。彼女にしてみれば、料理を作るのもロマンチックなことなのだろう。
この本は、出版されてすぐに読者の支持を集めた。ホームページのアクセス数はのべ30万回以上になったそうだ。本書で梅子は読者のために、創意工夫を凝らした30あまりの料理を手ほどきしている。そのほとんどが、ごくふつうの食材を選んだもの。気軽に料理が楽しめる。
装丁や写真もしゃれている。テーブルの上にこの本が置いてあれば、それも小さなアクセントになることだろう。(華夏出版社)
『人民中国』おすすめのベストテン
1.『中国芸術博物館』 梁白泉・主編 浙江少年児童出版社
2.『中国民俗大系』 陶立 ・主編 甘粛人民出版社
3.『中国伝世名画』 銭振為・主編 北京理工大学出版社
4.『李叔同説仏』 李叔同・著 豊子・・挿絵 陝西師範大学出版社
5.『失敗之書』 北島・著 汕頭大学出版社
6.『歳月与性情』 周国平・著 長江文芸出版社
7.『水乳大地』 范穏・著 人民文学出版社
8.『魯迅的紹興』 陸宗寅・編 当代中国出版社
9.『吃在北京』 北京城市指南文化伝播有限公司・編 中国商業出版社
10.『牛』 莫言・著 民族出版社
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