北京ウォッチングC 邱華棟=文 劉世昭=写真
 
人にやさしい長安街を目指す
 
 
 
長安街の全体

 今回は、中国でもっとも有名な「長安街」について考えよう。北京市を東西に走る大通りで、西は石景山区の「首鋼(首都鋼鉄)総公司」から東は通州区の「通胡路」まで、全長約50キロ、中国一の長さを誇る。その中心部は西三環路(西第三環状道路)の「公主墳立体交差橋」から東三環路の「国貿立体交差橋」で、長さは14キロほど、沿道には北京、ひいては中国の政治や経済、文化の主要な建築物が集中する。これらはまた、この都市の建築物の代表的なものでもある。

 長安街は、北京市の都市の全体計画と構造において非常に重要だ。なぜなら、北京の中心は天安門広場であり、長安街はその北側を東西に走るメーン道路だからだ。新中国成立から50年以上、長安街とその沿道は絶えず建設され、北京市のビューポイントの中でもっとも重要な部分となっている。

 長安街は北京の「顔」といえる。建国十周年の際に選ばれた十大建築物と1980年代初めに選ばれた新十大建築物のほとんどが、この沿道に分布している。

1950年代の十大建築物である民族文化宮(右)と民族飯店。現在も使用されている

 東長安街の延長線、東四環路にほど近い西大望橋から西に見ていくと、南沿いにはシンボルとなる大型建築物を建設中で、東から順に新亜ビル、北京テレビセンター(高さ248メートル)、航華科貿センターがある。

 国貿橋の北西には、中国国際貿易センターの建築群〔まもなく第三期ビルが着工(高さ330メートル)〕があり、その北側には財富ビジネスセンター、万通センターなどの建築群がある。南西には現在建設中の建外 がある。

 国貿橋から東二環路の建国門橋の間には、建国飯店、友誼商店、国際ビル、国際クラブ、賽特広場、長富宮飯店などの建築群が分布している。この辺りは、北京でもっとも国際的なビジネスエリアで、夜間もっとも賑やかな地区の一つだ。

 建国門橋から天安門広場までの主要な建築物は、恒基センター広場、国際飯店、東方広場、北京飯店、中国国家博物館などで、しだいに国の行政や文化、商業の中心となる建築群が現れる。これらは「古都の風貌を取り戻す」ことを重要視し、恒基センターと北京飯店は西洋の古典式建築、北京最大の建築群である東方広場は三つの庭園式建築で構成されている。

 天安門広場から西に向かうと、フランスの建築家ボール・アンドリュー氏が設計した「巨大卵」と呼ばれる国家大劇院がある。これはさまざまな論争を巻き起こしているシンボル的な建築物だ。残りの敷地の使用権はすでに売却済みで、2008年までに何らかの建築物が建設されるという。

 西単から西には、時代広場、西単文化広場、中国銀行ビル、国際金融ビルなどがある。この辺りは西長安街で、国の文化や商業、金融の主要機関の総本部が集中している。

西単の一角にある中国銀行ビル

 復興門から公主墳までは、西長安街の延長線で、ラジオテレビビル、中央テレビ局、中都ビル、城郷貿易センターなどの建築群が分布している。中都ビルは公主墳立体交差橋の北東に位置し、三つのメーンビル(高さ150メートル)からなる総建築面積20万平方メートルのオフィス、ホテル、住宅が一体化した大型建築群となる予定。長安街の中心部は「東に国貿、西に中都」といった形になる。

 建築美学から言うと、東三環路と西三環路の14キロほどの区間には、50年の間に建てられた、この都市の建築の精髄が集中している。建築機能から言うと、中国の政治、文化、ビジネス、情報などの主要機関の総本部が集中している。建築風格から言うと、この数十年来、旧ソ連やヨーロッパ、アメリカなど各国の建築理念に影響されてきたことが分かる。この大通りから、北京の活き活きとした雰囲気や中国の堂々とした様子がうかがえる。

 長安街の主要部分の道幅は70メートル以上で、全八車線。今後さらに十以上の大型建築物が建設されるので、2008年の長安街はさらに壮観で美しくなるだろう。長安街にある建築物は、非常に大きくどっしりとしていて、国の威厳を体現している。しかし、緑化、道路標識、身障者施設やサービス機構という細かい点はまだ行き届かず、「以人為本」(人間本位)にはなっていない。これこそがこの長安街の「玉にキズ」の部分であろう。こういった細かい点に気を配り、利用者の便宜をはかってこそ、長安街は広くて美しく、また、ゆったりとしていて快適な大通りとなる。

 
 
邱華棟 1969年新疆生まれ。雑誌『青年文学』の執行編集長、北京作家協会理事。16歳から作品を発表。主な著書に長編小説『夏天的禁忌(夏の禁忌)』『夜晩的諾言(夜の約束)』など。他にも中・短編小説、散文、詩歌などを精力的に執筆し、これまでに発表した作品は、合わせて400万字以上に及ぶ。作品の一部は、フランス語、ドイツ語、日本語、 リ国語、英語に翻訳され海外でも出版されている。  
 

  本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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