頤和園の長廊画C 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

周敦頤 蓮を愛でる

 周敦頤(1017〜1073年)は、北宋時代の哲学者である。官僚として朝廷に仕えていたが、権力のある高官におもねることなく、人望を集めていた。病を患ってからは辞職して里に帰り、廬山蓮花峰のふもとに書堂を構えて、修養を積んだ。書堂の周りにはいくつもの蓮池が連なり、山紫水明のすがすがしい所であった。それに心動かされた彼は、広く知られる名作の『愛蓮の説』を著したのだ。

 蓮の花の美しさをたたえて、「泥より出でて染まらず、さざなみに洗われてすがすがしい」と記した。孤高のすぐれた品徳を表したものだ。また蓮の花をたたえて、「(茎の芯が)空であり、まっすぐに伸び、つるも枝もつけずに清らかな香りを遠くまで放ち、高々と生えている」と。それは、世俗に流されることなく、心の清らかな自らの態度を表している。

 周敦頤の愛蓮の情は美談とされて、その名句も今に伝わる。この彩色画に描かれたのは、周敦頤が蓮花峰のふもとで悠々自適の生活を送っている光景である。

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

  本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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