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山梨県北杜市は八ヶ岳の山麓にあります。去年11月1日、長坂町と周辺の明野村、須玉町など七つの町村で合併し、北杜市となりました。人口約4万5000人。自然豊かで温泉も多く、観光や農業が主な産業です。 新しい市の誕生を記念して、今年1月15日夜、長坂コミュニティー・ステーションのホールで、中国の京劇が上演されました。公演には、中国大陸から中国京劇院などのベテラン俳優3人に、台湾からも一人の京劇俳優が参加、さらに日本で活躍している中国人の京劇俳優や日本人の京劇愛好家も出演しました。それに桜美林大学の学生十数人も兵士や侍女らに扮して舞台に立ったのです。 出し物はおなじみの『三国演義』から『長坂坡・漢津口』(日本語の題は『常勝将軍』)。趙雲がただ一騎で百万の曹操軍の中から、劉備の奥方と子どもを救い出し、長坂橋の上に立ちはだかった張飛が、大喝一声、曹操軍を追い返したという物語です。「長坂」という名前に縁があるというのでこれが選ばれたようです。
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会場は、約500人の市民でいっぱいでした。セリフは中国語ですが、日本語の字幕がつきました。有名な中国京劇の研究家・吉田登志子さんが、ボランティアで翻訳してくれたのでした。 この公演をコーディネートしたのは、中国京劇院の有名な俳優、趙永偉さんです。公演では趙雲と関羽の二役を演じました。中国京劇界の最高賞である「梅蘭芳金賞」も受賞している趙さんは、今回の京劇公演について「中国のベテラン俳優と日本の京劇愛好家が同じステージに立つこと自体、非常に有意義」と言っていました。 公演当日、山梨は大雪に見舞われました。でも、舞台と客席の間にも、中国と日本の出演者の間にも、暖かいものが流れていました。
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