チャイナスコープ
みんなが学校に通える社会へ
農村の義務教育を無料に
 
                                       侯若虹=文

義務教育の無料化は、農村の貧困児童・生徒の教育を受ける機会を保障する

 湖南省安郷県の農家の平均年収は1200元だが、子どもの教育費は一人当たり800元かかる。この辺りの多くの家庭には子どもが二人いるので、彼らが学校に通うのはほとんど不可能だ。また、黒竜江省満井郷中学校では、全校生徒827人のうち141人が家庭貧困のために中退しており、その率は17%に達する。

 これは、中央党校の教師が全国16地区に対して行った農村義務教育調査で明らかになった現状だ。

 現在、中国の農村には平均純収入が600元余りの人が2600万人いる。多くの貧困地区では、貧困のために子どもたちの教育の機会が失われている。

 このような農村教育の問題は、今年の全国人民代表大会や中国人民政治協商会議でも熱く議論されたテーマの一つであった。

 温家宝総理は今年の政府活動報告の中で、農村の義務教育を重点的に強化し、政府の投入を主とした経費保証システムを完璧にしなければならないとしている。今年から、貧困地区では義務教育が無料で行われ、2007年までに全国の農村でこの政策を実施して、貧困家庭の子どもでも学校に通えるようにし、義務教育を徹底させる。

 農村教育の状況は、以前から全社会が関心を寄せていた。1989年から実施された「希望工程」は、民間の寄付により、全国の250万人以上の貧困児童・生徒が学業を続けられるよう支援し、1万校以上の希望小学校を建設した。

 中国政府も農村教育の窮迫した現状を打破するため、努力を続けている。今世紀初めから、毎年投入する専門資金を増加させ、農村の義務教育の発展を支持している。2004年までに、中央財政が農村義務教育のために調達した各種専門資金は百億元に達している。

 中国政府は「和諧社会」(調和のとれた社会)の建設を提唱した。これの基本内容の一つは平等と正義だ。平等な教育は平等な社会の基礎である。農村の義務教育を無料にして、子どもたちの教育を受ける機会を保障し、都市と農村の協調した発展と社会正義を制度によって支える。

 長期的に見ると、このことは農村住民の教育を受ける権利を保障し、彼らの素質を高め、人口の圧力を人的資源の向上に転換させるのに役立つ。当面の急務は、農民の負担を軽減し、彼らの生活状況を改善させることだ。



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