エンターテインメント&ブック

映画
『両個人的芭蕾』(デュエット)


 

 子に恵まれない「徳貴の奥さん」は、夫とともに身寄りのない女の子・仙仙を養女として引きとった。まもなくして徳貴が亡くなったので、人々はそれが仙仙がもたらした不幸だと思い、徳貴の奥さんに仙仙を送り返すようにと忠告する。しかし、彼女は拒絶した。

 周囲の人たちの冷たい視線を浴びながら、彼女は1人で仙仙を育てるという責任を負った。道路の掃き掃除をし、水道代を集金し、紙箱ののり付けや、本の装丁まで手伝った。彼女の最大の願いは、仙仙をバレリーナにすることだった。

 長い年月が経ち、仙仙は本当にバレリーナになった。南京から北京まで、仙仙はステージの上で、楽しそうに脇役を演じたのである。

 映画の中の女主人公・徳貴の奥さんは、平凡な家庭の主婦だ。平凡な日常に甘んじたくなかった彼女は、養女に「仙女」という意味の名前をつける。しかし、それも養女の平凡な運命を変えることはなかったのである……。

 監督の李力は、この作品を伝統的な「鼓舞映画」にはしていない。淡々とした語り口で、あるふつうの母娘の現実的な生活を描いている。しかし、隣近所が運び出した床板、門板、八仙ラタ(8人掛けのできる正方形のテーブル)の上で、仙仙がバレエを踊るラストシーンを見ると、この映画のロマンチックな本質に気づくのである。監督・李力   出演・倪萍、李雍 (写真提供・新浪娯楽)

『日日夜夜』(日夜)

 

 映画『日日夜夜』は、中国西部のある鉱山労働者の家庭が、人間性に救われるという物語。主人公の青年で鉱山労働者の広生は、親方の奥さんと男女関係をもったことから、親方に合わせる顔がなかった。まもなくして、ある突発事故が発生。広生は自分だけ逃げおおせたが、体の弱い親方は助けることができなかった。そのため、親方の奥さんも広生から離れていく。ある時、広生は火煙のなかに親方の幽霊を見る。親方は言った。「私の代わりに息子の阿福に嫁さんを世話してやってくれないか。孫の顔が見たいんだ」

 一生懸命になった広生は、ついに県城(県庁所在地)で、若い女性の紅梅を見つけだす。紅梅の家は大変貧しかったので、「よい暮らしができるなら」と彼女はこの縁談を受けた。そして広生は、その3カ月後の春節(旧正月)に、阿福と紅梅の婚礼を決める。ふたたび現れた親方の幽霊にこの消息を知らせると、親方は喜んで「春節には必ず息子の婚礼を見にくるよ」と答えた。

 しかし、春節の到来を待つ間、広生と紅梅の間に愛がめばえようとは、誰も思わなかったのだ。

 監督の王超は、ふつうの鉱山労働者の生活を描く過程で、一般的な鉱山労働者への印象を打ち破った。彼らの無味乾燥な生活に覆いかくされた、複雑な感情世界を表したのだ。

 この作品は、大陸部での公開に先立って、フランスのナント映画祭と香港の国際映画祭で上映、観客や評論家たちの評判となった。監督・王超  出演・劉磊、王眩 (写真提供・小魚)

ベストセラー

祝祝勇・著 
『1405鄭和下西洋六百年祭』(1405鄭和の西洋下り600年祭)

 

 1405年7月、中国の明朝政府から派遣された宦官・鄭和は、陶磁器、シルクなどの物資を満載した62隻の大船隊を率いて劉家港から出発、中国史上かつてない航海をスタートさせた。その規模の大きさ、航海の距離は、当時においては想像を絶するものだった。その後1430年まで、鄭和はあわせて7回出航、最も遠い航海先がアフリカだった。

 今年は、鄭和の初航海から600周年にあたる。その伝奇的なまでの遠洋航海に思いを馳せる年であるが、しかし当時の航海資料は朝廷の命によって焼却されており、今もさまざまな疑惑と推測を残している。鄭和はなぜ遠洋航海をしたのか、逃亡した建文帝・朱允 (1377〜1402年)を探すためだったのか、または外交訪問だったのか、彼の「宝船」は一体どれほどの大きさであったのか、旅の途中でどのような見聞きをしたのか、などなど。

 本書の筆者は、わずかな史料と丹念な調査によって、これらの疑問に一部答えている。流れるような美しい文章が、読む者を心地よくさせてくれる。(花山文芸出版社)

黒明・著
『100年的新窯子』

 

 「新窯子」は、陜西省北部にある貧しい片田舎である。1903年に人が住みはじめた時から現在まで、苦難に満ちた100年の歳月を歩んできた。100年来、ここの人々は荒れた土地を開墾し、結婚して子供を生んだ。自然災害と闘い、都市の誘惑を拒みつづけて生きてきたのだ。ここには2004年末の段階で、282人が暮らしている。

 写真集『100年的新窯子』は、作者がこの小さな村にカメラのレンズを向けたもの。勤勉で素朴なふつうの農民、彼らのむじゃきな子どもたち一人ひとりに照準を定めて、その本当の暮らしぶりや素朴な「夢」を記録している。(海南出版社)


丁一・編 
『中華菜肴辞典』(中華料理辞典)

 

 中華料理は数千年の歴史をほこる。生活習慣が各地によって異なるために、千を数える料理の種類とその名前を区別するのは難しい。また、中華料理のレストランは世界各地に分布するため、たとえ料理が同じでも、メニューに書かれた名前が異なる。

 本書では、およそ2000種にわたる中華名菜を選りすぐり、中国語、日本語、英語の3カ国語で料理名のリストを編修。中華料理が一目瞭然なのである。さらに読者の便宜を図り、後半部分ではポピュラーな中華料理100種の作り方を紹介。いずれも美しい料理写真が添えられていて、思わず涎が出てしまいそうだ。(知識出版社)

『人民中国』おすすめのベストテン

1.『世界遺産与年軽人』
          中国国連教育科学文化機関協会全国連合会・編 上海三聯書店

2.『漢字王国』 Cecilia Lindgvist著(スウェーデン) 山東画報出版社

3.『到古代中国去旅行』 伊永文・著 中華書局

4.『中国民間故事精品庫』(四巻) 盧正佳、繆力・主編 中国文献出版社

5.『花腔』 李ジ 著 人民文学出版社

6.『生活茶芸』 童慶啓、寿英姿・編 金盾出版社

7.『中国自然与人文景観集成』 張伯山・編 光明日報出版社

8.『動什麼別動感情』 趙趙・著 長江文芸出版社

9.『長征画典』 蒋建農など編 河南人民出版社

10.『1949年:中国知識分子的私人記録』 傅国涌・著 長江文芸出版社

(提供・北京三聯韜奮図書センター)

 
  本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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