中央商務区(Central Business District)とは、事務やビジネス、サービス業が一体となった都市の中心部だ。現代的な都市には必ずCBDが必要で、一般的にその都市のオフィスビルの30%以上が集まり、デパートやホテル、マンションなども集中する、最もにぎやかな場所である。アメリカでいったら、ニューヨークのマンハッタン、日本では東京都の新宿区、フランスはパリのシャンゼリゼ、シンガポールはオーチャード通りだろう。上海市だったら、浦東の国際金融商貿区だ。
それでは、北京のCBDはどこだろうか?
これまでは、建国門外大街と朝陽門外大街から東の第一、第二、第三大使館区を含む約10平方キロの区域だったが、現在は、東第三環状道路(東三環路)の国貿橋を中心として、その周辺4・5平方キロの区域と定められた。ここには北京でもっとも高いオフィスビルがいくつかあり、建築面積がもっとも広い建築群――中国国際貿易センターがある。800万平方メートル以上の建設計画がすでにあり、現在、施工を急いでいる。
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急ピッチで進められているCBDの建設(写真提供・温歌豊) |
私は北京が摩天楼を建設することには賛成するが、旧市街区から離れて建てるべきだと思う。北京東部のCBD内、特に東三環路沿いに集中して建てたらよい。摩天楼はその都市の経済成功の象徴で、天に通じるタワーであり、現代人のトーテムなのだから。
南方からやってきた私の友人は、北京西駅に着いて北西部の海淀区まで行く途上、南方で見慣れていた摩天楼を一つも見かけなかったので、北京は美しくなく、田舎くさいと感じたという。後に、市の東部で京広センターや京城ビル、国貿ビルといった当時北京でもっとも高いビルを見かけ、北京は広いので、高層ビルが分散していることを知った。また、市内では建物の高さが制限されていて、二環路沿いおよびその内側の大型建築物のほとんどが低くて太いことも分かった。歴史文化の名城とされた北京は、これまで高層ビルの建設を提唱してこなかったのだ。
部分的な計画や緑地建設、都市景観から見ると、確かに上海、大連、青島、深ロレの各市には北京より現代的で美しい場所がある。例えば、大連の大型緑地広場、青島東部の新城区の街並み、上海浦東の陸家嘴のマンハッタンと争うほどのビル群、深ロレの深南大道の都市峡谷や蛇口の住宅区など、いずれも先進国に匹敵する場所である。
北京の主要な通りは長安街で、両側の公共建築物は大きくゆったりとしている。しかし現代化の息吹を具えCBDはまだ完成されていない。国貿センターの西には京倫ホテル、貴友デパート、国際クラブ、凱莱大酒店などの建築物があり、東には、中服ビル、航華科貿センター、富裕隆ビルなどがあり、北の光華路には北京国際城、漢威広場などがある。
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北京東部の亮馬河の周辺には高級ホテルが数多く集まる |
この一帯には、他にも40万平方メートルを超える大型建築群が六組建設される予定で、将来的にはCBDのシンボルとなる。数年以内には、高層ビルが林立し、先進国の都市景観と肩を並べるほどのCBDとなるだろう。
若者の多くは、北京は3000年の歴史を持つ古城であると同時に、現代世界でもっとも美しい建築景観と設備を擁してほしいと望んでいる。昔の輝かしい思い出ばかりにたよっている都市の中で生活したいと思う人は誰もいないだろう。
城壁を取り除いた新しい北京城は、三環、四環、五環、六環……と周囲に拡張しつつあり、金融センターやビジネスセンター、衛星センターも形成中である。特に、CBDは現代北京の新しいイメージとなるだろう。いつの日か、CBDの高層ビルの間を歩き、勢いがある都市のビジネス中心地で、その興奮と激情が共存する内在的なエネルギーを感じたい。
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