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日系企業と北京王府井百貨が合資で設立したスーパー「王府井洋華堂」の第1号店。4月30日、北京東南部の勁松にオープンした |
大型デパートが航空母艦だったら、チェーンストアは小型艦艇か砲艦だろう。両者の役割は異なり、大型デパートは数キロ、十数キロ周辺の住民に対し、数千種類、数万種類の商品を供給するが、チェーンストアは各居住区に分散し、近くの住民たちに生活必需品を提供する。丈夫な品や特殊な品、高級品は大型デパートへ行ったほうがいい。
1998年は大型デパートの倒産の年と言われた。しかし実際は、閉店のニュースはあまりなく、逆に多くのデパートが相次いで開店した。荘勝広場の「崇光」(そごう)や新恒基センターの「恒中スーパー」「新世界センター」などは、北京デパート界の巨頭となった。
特に日系デパートの崇光では、開店当日の来客数が30万人を超えたそうだ。崇光のキャッチフレーズは、「あなたが買いたいものがある」。この少々おおげさにも感じられる宣伝文句に、人々は驚きながらも、とても喜んだ。
北京には現在、西単と王府井という二大商業センターがある。2008年までには、中関村、オリンピック村、中央商務区(CBD)、亦荘の四地区にも、商業センターを建設する予定だ。これが吉と出るか凶と出るかは、しばらく様子を窺う必要がある。どちらにしろ、北京の1500万人の購買力はまだ極限には達しておらず、急速に成長している最中であることは間違いない。
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北京の有名な服装市場である秀水街 |
北京には店舗面積が1万平方メートルを超える大型デパートが、80軒以上ある。ここ数年、多くのメディアが、北京には大型デパートが多すぎると憂慮している。消費能力はニューヨークや東京の6分の1しかないのに、大型デパートはこれらの都市よりかなり多いというのがその理由だ。しかし、面積1万6800平方キロの巨大都市北京には、移動人口も含めると1500万人が生活していて、少なくとも1200万人の活動区域は都市の中心部である。こんなにも多くの人々の消費や生活の基本的な需要は、全てこれらのデパートで満たさなければならないのだ。
都市計画から見れば、北京は大きいだけで使い物にならない都市である。大きすぎ広すぎるため、生活するには非常に不便なのだ。数十軒のデパートは広い市内に分散しているので、その多さをあまり感じない。独自の経営を行ったり、大型スーパーに改装したりしているデパートも少なくない。
北京のデパートにはたくさんの商品が揃っていると思っている人もいるが、実際は、最も大きなデパートでもたったの数万種類である。アメリカのあるデパートでは、17万種類を超える。中国の商業には、まだ大きな発展の余地があるのだ。
商業化の程度は、現代社会の象徴の一つである。人は、消費し、エネルギーを消耗する動物だ。食だけとっても、人生を70年で考えた場合、1人で18車両分の食料を消費する。衣や住などにおいても、各種の需要があることは言うまでもない。
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早い時期に北京へ進出したフランスのスーパー・カルフールは、すでに大規模に店舗展開をしている |
人々のさまざまな需要を満たすために商品が生まれ、人々の生活を快適で安全かつ便利にするためにデパートが現れた。1992年に中国が完全に商業社会となってから、まだたったの十数年。近年、消費レベルの上昇が比較的緩やかなのは、体制転換がもっとも重要な時期に入ったからである。数年後、中国人の消費能力は、急速に増長するだろう。
現在、北京の人々の最大の消費対象は住宅とマイカーだ。都市に住む人々の大多数は、すでに数万元レベルの商品を購入することが可能になっているが、数十万元レベルにまで達するには、まだ5年から10年ほど待たねばならない。住宅やマイカーは、まさに数十万元レベルの商品である。
小型艦艇であるスーパーマーケットは、便利かつ手軽で、時間を無駄にすることなく、欲しいものを手に入れることができる。一方、大型デパートは、私たちの需要にあらゆる形で応える。ほかにも、ディスカウントショップやブランドショップ、会員専用店、委託販売店などがあり、これらが共同で都市の商業構造を形成している。
このところ、一部の外資系企業が北京の商業戦線に参入し、新たな経営理念をもたらしている。商業のグローバル化と国際化は避けられない。伝統的な観光地であり消費都市である北京にとって、ビジネス・チャンスは無限なのだ。
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