エンターテインメント&ブック
 
映画   『花腰新娘』(花腰の花嫁)


監督・章家瑞 出演・張静初、印小天

 竜を崇め、竜舞の踊りを代々伝える雲南省の花腰イ族(イ族の一支族)。竜舞の名人として広く知られる青年・阿竜は、全省竜舞コンクールの前夜、女子竜舞チームのコーチになったことを快く思っていなかった。一方、彼の婚約者の鳳美は、その知らせを耳にしたのち、あの手この手で竜舞チームにもぐり込み、メンバーになったばかりか、竜頭を持って踊るという重責を担うことに……。

 明るく、快活な性格の鳳美は、竜舞チームの先頭にたち、阿竜の教える古い踊りを打ち破り、特色のある女子竜舞のプログラムを新たに創作。しかしそれは阿竜の面目をつぶして、2人を仲たがいさせてしまった。

 コンクールが近づいたものの、阿竜は失恋したばかりか、メンバーたちの尊敬と信任を失って、後悔することしきりだった。大酒を飲んでうさを晴らそうと、竜頭を手にして屋根へ飛び乗り、踊りはじめた。それは飛び出してきた人たちの目を奪うような大迫力の酔竜の舞だった。その精悍な踊りは、あらためて鳳美を魅了した……。

 阿竜と鳳美の物語を大筋として、花腰イ族の青年男女の暮らしや彼らの独特な愛情、婚姻観念を表している。花腰イ族独特の風俗を伝えるカットを数多くはさみ込み、映画に豊かな色彩を与えている。たとえば女子の竜舞、愛を表現する「煙盒舞」、恋人と仲睦まじく歌う「海菜腔」恋歌、新婦が結婚後3年でようやく新郎家族と同居できるという古い習俗など、いずれも地元の豊かな風情をたたえている。

 監督・章家瑞の三部作『諾瑪的十七歳』『花腰新娘』、それと現在製作中の『芳香之旅』は、いずれも雲南省で撮影を終えている。少数民族の風情は、章家瑞作品を表すシンボルとなっているようだ。(写真提供・新浪娯楽)

テレビドラマ  『大宋提刑官』(全52回)(大宋の提刑官)

ディレクター・カン衛平 出演・何氷、羅海瓊

 提刑官(刑事執行の官吏)・宋鞏の子、宋慈は科挙の試験に合格し、進士となった。そこで、親友の孟良臣と、祝い酒を飲むことになった。孟良臣によれば「禺城の知県(県知事)に任命された」という。宋慈は、禺城が非常に危険なところで、前任の知県が非業の死をとげたことを知っていた。そこで、自分が故郷で結婚するのを待ち、戻ってから一緒に赴任するようにと勧めるのだった。

 ほどなくして、孟良臣が赴任途中に思いがけない災難にあい、亡くなったことが伝えられた。その真相を究明するために、宋慈は毅然として「子孫が刑獄の事に関わるのを許さず」という父の遺言に背き、禺城に赴いて、ついに2人の知県が謀殺された内幕を暴くのである……。

 宋慈はここから、その類まれな検死力、推理力により、一連の殺人疑惑事件をつづいて捜査し、究明していった。そしてその経験を、のちに著名な法医学書となる『洗冤録』として編纂したのだ。

 このドラマは、法医学の開祖・宋慈をモデルとして、ある若い提刑官が経験する11の複雑怪奇な捜査事件を紹介している。『洗冤録』には本来、具体的な事件の記載はなく、検死により証拠を集め、推理を実証するさまざまな方法が記録されているだけだ。この11の物語は、同書に記された捜査方法によって作られたフィクションである。

 アメリカの『CSI』(犯罪現場)などのドラマが中国ではやるにつれて、中国の視聴者たちも法医学をテーマにしたテレビドラマに注目している。こうして、この『大宋提刑官』が生まれた。『CSI』などのハイテク技術を駆使した推理事件ものとは異なり、このドラマでは、いずれも非常に簡単で、巧妙な事件現場の調査法が用いられている。ドラマにある種の伝奇的な色彩を与えている。(写真提供・中国音像商務ネット)

推薦書    『我最宝貴的』(私の一番の宝物)
思楽維、董興茂、倪美銷、羅玉蘭・編

 「一番の宝物は何ですか?」

 こんな問いには、誰もが自分の答えを持っていることだろう。仕事、家、レコード、小さな刺繍針……。答えはそれぞれ違うだろうが「私の一番の宝物」とは、いつの時代も、その人が心を動かされる物なのだ。

 香港楽施会と上海愛的教育研究会が行った「私の一番の宝物」社会調査活動には、合わせて10万人近くもの中高生が参加した。彼らは各地で大勢の中国人を取材、ペンとカメラを使って、この質問に対する人々の答えを記録した。

 本書では、その調査活動から選ばれた代表的な人物60人あまりを取り上げている。多くは中国の西部地区や農村の人たちで、言ってみれば社会的弱者の層だ。

 この本を開くと、彼らのそれぞれ異なる精神世界をかいま見ることができる。特筆すべきなのは、生活がどんなに苦しくても、違いがあっても、紹介される人たちがいずれも暮らしに希望と情熱を持っていることである。(生活・読書・新知三聯書店)

『理査徳・左爾格』(リヒャルト・ゾルゲ)
楊国光・著

 リヒャルト・ゾルゲは、第2次世界大戦期のソ連における著名な諜報(スパイ)活動家だった。ドイツ記者という表向きの肩書きと、駐日ドイツ大使との密接な関係を利用して、東京での諜報活動にあたっていた。とくに1941年、彼が通報した重要な情報により、スターリンは東戦線の部隊をモスクワ戦役につかせるという決定を下した。それにより、モスクワを救い、ソ連を救ったのである。ゾルゲが一変させたあらゆる戦局は、第2次大戦の進路をも変えたと言えよう。

 この「20世紀最大のスパイ」への関心はここ数年、高まるばかりだ。その中で本書は次々と公開されているロシア連邦国防部、対外情報局などの関係資料に基づいて、ゾルゲの伝奇的なまでの生涯を再現している。多くの知られざるプロットや史実を紹介し、客観的にゾルゲの伝記を詳述している。(世紀出版集団・漢語大詞典出版社)

『戦時体制下的日本婦女団体(1931-1945)』    
(戦時体制下の日本の婦人団体)

胡澎・著

 第2次大戦期、日本国内では多くの婦人団体がめざましい活動を行っていた。こうした婦人団体は、昭和初期には民主と平等を勝ちとる進歩的な役割を果たしていた。しかし、戦争がはじまると、進歩的な民間婦人団体はしだいに消滅していき、政府系の婦人団体が直接、あるいは間接的に侵略戦争を支えていった。

 この本は、戦時体制下における日本の婦人団体の活動について熟考し、客観的かつ公正な評価を下している。近代日本における女性史は、主に2つの要素から影響を受けているという。つまり、近代自由民主、男女平等に基づく権利の思想と、伝統的な父権制の家族制度、良妻賢母の思想である。そして後者は、日本の婦人団体が侵略戦争支持に転向することになった主な要因であると、筆者は語っている。(吉林大学出版社)

『人民中国』おすすめのベストテン

1.『恋人食譜』 梅子・著 華夏出版社

2.『紅楼十二層』 周汝昌・著 書海出版社

3.『関于上班這件事』 朱徳庸・著 中信出版社

4.『聯想風雲』 凌志軍・著 中信出版社

5.『非常道―1840-1999的中国話語』 余世存・著 社会科学文献出版社

6.『数網競争:中国電信業的改革和開放』 周其仁・著 生活・読書・新知三聯書店

7.『麗江行知書』 蝸牛製造・著 天津人民出版社

8.『中国地理速読』 張エキ・著 中国書籍出版社

9.『囲棋百味人生』 徐渾、杜恒・著 漢語大詞典出版社

10.『生逢1966』 胡延鮖・著 上海文芸出版社




 
本社:中国北京西城区車公荘大街3号
人民中国インタ-ネット版に掲載された記事・写真の無断転載を禁じます。