チャイナスコープ
「医療費が高く、診療が受けにくい」 
医療改革を改めて考え直す
 
                                     張春侠=文 馮進=写真

「医療費が高く、診療が受けにくい」ことは中国の医療衛生が直面している大きな問題だ。写真はある病院の待合ロビー

 山西省から北京へ診療を受けにやって来た李さんは、5、6年前から呼吸が正常でないと感じていた。しかし当時、レントゲン写真を撮るのに500元以上(1元は約14円)かかったので、病院へは行かなかった。昨年、肺がんと診断され、四十日間の化学療法で四万元以上を支払った。

 李さんのように、病気にかかっても病院へ行かない人はたくさんいる。

 中国が市場化・商業化によって医療衛生体制の改革を進めて以来、ますます深刻な問題が明るみになっている。その一つは、医療費が高くなり、一般の人々が診療を受けにくくなったことである。

 2003年末、衛生部(日本の省庁にあたる)が公布した「第3回国家衛生サービス調査の主な結果」によると、中国の医療サービス費の上昇スピードは、1人あたり平均収入の上昇より速い。医療費が高いため、48.9%の人は病院へ行かず、29.6%の患者は入院の必要があるのに入院治療を受けていない。この現象は農村ではさらに深刻だ。

 医療衛生面で多くの問題が明るみに出たこと、特に、2003年の新型肺炎(SARS)の蔓延によって、人々は医療改革について改めて考えるようになった。今年3月、温家宝総理は『政府活動報告』の中で、「医療費が高く、診療が受けにくい」問題を適切に解決しなければならないと強調。また最近、国務院発展研究センター社会発展研究部は、03年初めから、世界保健機関 (WHO)と共同で行った「中国医療衛生体制改革」のレポートを発表し、医療サービスの公平性と衛生投資のマクロ効率性が下がっていることが、問題発生の根源であると指摘した。

 この研究の責任者である国務院発展研究センター社会発展研究部の葛延風・副部長は、「今のところ、中国の医療衛生体制改革は基本的に成功していない」と述べ、政府側で初めて、中国の医療改革を否定する見解を示した。

 中国の医療改革も他の改革と同じように、模索しながら進めている。衛生部は関連の部や委員会と共同で、新しい医療改革案を制定中である。国民もこれに期待している。しかしどうであれ、これまでの改革に対して客観的な反省と評価を行えることは、改革が盛んに行われている中国にとって、きわめて大きな進歩であることは間違いない。



 
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