新疆の声 ラジオにのせて
イリーナ・ルホムビエクさん

   イリーナ・ルホムビエクさんのふるさとは、北京からはるか離れた新疆ウイグル自治区である。母親は、少数民族のカザフ族、父親はウイグル族だ。カザフ語とウイグル語に精通した彼女は、学校に上がると成績優秀で、地元でも一番の成績で北京の中央民族大学に合格したのだという。

   大学卒業後、イリーナさんは北京のある大型マーケットで、販売員を3年間ほど務めた。この間、すばらしい業績を上げて、上役たちの賞賛を浴びていたが、ある日、偶然にも開いた新聞で、中央人民放送(ラジオ)局の番組『民族の声』が記者を募集していることを知り、さっそく応募したのである。

   試験問題は、ウイグル語での取材と作文であった。しかし、いくつもの言語能力に長け、外交的なイリーナさんにとって、ウイグル語での試験は、ごく自然で簡単なことだった。数日後には、合格通知を受けとった。

   すぐれた言語能力を持つという特長は、彼女に大きな「援助の手」をさしのべた。

   今年の「両会」(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の際、会場の外で、新疆の代表(国会議員に当たる)に出会った彼女は、大急ぎで駆けよって、カザフ語で質問をした。「あなたは、ウイグル語が話せますか?」

   代表は、彼女を見ると、笑いながらカザフ語で答えた。

   「おじょうさん、あなたはカザフ語で話しかけながら、ウイグル語がわかるかどうか、私に聞いているんですね?」。それを聞いて、イリーナさんも気恥ずかしく思ったが、かえってそれが2人の会話を、ことのほか打ち解けたものにした。この時の取材も、大成功を収めたのである。

   ふだんのイリーナさんは、歌うのも、踊るのも好きだ。放送局内でイベントがあると、彼女はもっとも張り切る1人となる。「新疆人のほとんどが、歌や踊りに長けています。みなさんが新疆へ行って、それを確かめてくださることを、心から歓迎しています!」。そう言うと、彼女はニッコリ微笑んだ。 (写真=馮進  文=王浩)

 

 
 

 
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