[特別寄稿]
胡錦涛主席、抗日戦争勝利60周年で重要講話
「中日友好・協力の方針は変わらず」と強調

本誌編集部

9月3日、北京の人民大会堂で、「中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利60周年を記念する大会」が盛大に挙行された。この大会で胡錦涛・中国共産党総書記、国家主席、中央軍事委主席が、重要講話を行った。

中国と世界の人民の勝利

重要講話を発表する胡錦涛主席

胡錦涛主席はまず、この戦争勝利の意義について「60年前の世界の前途と運命を決定したあの偉大な勝利は、平和と正義を愛するすべての人々の心に永遠に刻まれている」とし、「歴史を心に刻み、過去を忘れず、平和を大切にし、未来を開き、よりうまく小康社会(いくらかゆとりのある社会)の全面的な建設を進めていかなければならない」と述べた。

さらに胡主席は、抗日戦争を「世界の反ファシズム戦争の重要な構成部分であり、東方の主戦場であった」と位置づけ、19世紀後半以来、日本が軍国主義の道を進み、一連の侵略戦争を行ったことを、具体的に指摘した。

そのうえで抗日戦争の勝利は「中華民族のすべての同胞が団結し、奮闘した結果であり、また中国人民と世界の反ファシズム同盟国の人民が肩を並べて戦った結果でもある」とし、中国人民の抗日戦争では「中国国民党と中国共産党が指導する抗日の軍隊が、正面の戦場と敵後方の戦場の作戦を分担して行った」と述べた。

また「ソ連はもっとも早く、中国の抗日戦争に貴重な援助を提供し、米国も強く支持をし、英仏なども中国に経済援助や軍事協力をしてくれた」と国際的な支援と抗日戦争の勝利が切り離せないことを強調した。

そして世界の反ファシズム戦争の中で、抗日戦争が「もっとも早く開始され、もっとも長く続けられた。長期にわたる中国の戦場で、日本軍国主義の主力を牽制、攻撃し、150万以上殲滅した」と述べた。

世界に大きな影響を及ぼす

9月3日、人民英雄記念碑に献花する中国共産党中央政治局常務委員。胡錦涛(右から5人目)、呉邦国(右から4人目)、温家宝(左から4人目賈慶林(右から3人目)、曾慶紅(左から3人目)、黄菊(右から2人目)、呉官正(左から2人目)、李長春(右端)、羅幹(左端)の各氏

世界的規模で戦われた反ファシズム戦争について胡主席は「人類史上最大の戦争であった」と指摘した。そして「日本の侵略者はほしいままに中国の麗しい山河を踏みにじり、中国軍民を殺害し、労働者を強制連行し、婦女子を蹂躙し、細菌戦や化学戦を行い、南京大虐殺など一連の非人間的な殺戮事件を起こし、許すことのできない罪を犯した」とし、「中国軍民の死傷者は3500万人以上、1937年の価値に換算すると、中国経済の直接的損失は1000億ドル以上、間接的損失は5000億ドル以上」と具体的な数値を示した。

そのうえで胡主席は「国際軍事法廷が日本の戦犯に対して下した正しい判決は、ゆるがせにできないものであり、それに挑戦することを許さないものである」とした。

さらに中国の抗日戦争と反ファシズム戦争の勝利は「世界のファシズム反動勢力を徹底的に壊滅させただけでなく、世界の発展の重大な転換点にもなった」と評価。それが「列強が覇権を争奪する古い時代の国際体系に強い打撃を与え、世界の植民地主義の基礎を揺るがし、植民地や従属国が国家の独立と民族の解放を勝ち取る闘争を促し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカで盛んになってきた民族解放運動のために広い道路を切り開いた」と位置づけた。

さらに胡主席は「この60年来、中華民族は普通には見られない発展の道路を歩んできた」とし、建国以来の経済建設の成果を強調。国際紛争の解決に関しては「平和的に解決する」と述べた。

また「中国は国家の主権と領土の保全をあくまで堅持し、積極的に祖国の平和統一の大業を推進する」として、「我々は『平和統一、一国二制度』の基本方針と現段階で両岸関係を発展させ、祖国の平和統一を押し進める八項目提案を堅持し、一つの中国の原則を堅持して動揺せず、平和統一の努力は決して放棄せず、台湾人民に希望を寄せる方針を貫徹して決して変えず、『台湾独立』の分裂活動に反対して決して妥協しない」と述べた。

中日関係を一貫して重視

胡主席は「中国と日本はアジアと世界で重要な影響力をもつ国であり、2000年以上にわたる交流の歴史の中で、中日の友好が主流であった」と分析した。そして「近代において日本軍国主義の発動した侵略戦争は、中国人民に大きな災難をもたらしただけでなく、日本人民にも深く傷つけた」とし、「侵略戦争を計画し、実行したのは、一握りの日本軍国主義分子に過ぎない」と述べた。

また、新中国成立以来、「中国政府は一貫して中日関係を重視し、中日友好の方針を終始堅持し、中日友好のためにたゆまぬ努力をしてきた」とし、中日国交正常化や両国の経済貿易の拡大に、両国の指導者や識見のある人々が努力したことをあげた。

胡主席は同時に「しかし、指摘しなければならないのは、長期にわたって日本国内の一部の勢力が、日本の発動した侵略戦争の性質と罪行をあくまで認めず、軍国主義の戦争を極力美化し、すでに歴史的に断罪されたA級戦犯を招魂したことである。こうしたやり方は、中国とアジアの人民の感情をひどく傷つけた」と述べ、「前事を忘れざるは、後事の師なり」という諺を引いて「我々が歴史を忘れないよう強調するのは、恨みをいつまでも持つためではなく、歴史を鑑として未来に目を向けるためである。過去を忘れず、教訓を心に刻んで忘れないことによってのみ、歴史の悲劇の再演を免れることができる」と強調した。

そのうえで「我々は日本政府と指導者が、歴史や人民、未来に対して非常に責任ある態度に基づいて中日友好を維持し、アジア地域の安定と発展を維持するという大局から出発し、あの侵略戦争に対するお詫びと反省を、実際行動で実行することを望む。私はここで、中国政府の中日友好協力関係を発展させる方針に変わりがないことを再び表明する」と述べた。

さらに胡主席は、「我々は『中日共同声明』『中日平和条約』『中日共同宣言』の3つの政治的文書を厳格に遵守し、対話と平等な交渉を通じて中日間の意見の違いを適切に処理し、広範な分野での両国の交流・協力を強め、民間の友好往来を強化し、相互理解を増進し、共同の利益を拡大し、実際行動で21世紀の中日友好・協力関係を発展させるよう力を尽くし、中日関係を健全に前向きに発展させ、中日両国人民の世々代々の友好を続けてゆく」と表明した。