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映画 『青紅』 |
監督・王小帥
出演・高円円、李浜 |
1980年代初め。19歳の少女・青紅は、典型的な移住者家族の一員だった。両親は1960年代に内陸に工場が移転したのに伴い、上海から貴州に移住。20年近くが経ち、彼女の家と同じように、無数の家族がふるさとを遠く離れ、浮き草のごとくこの土地に漂っていた。移転した工場も、新しい改革の潮流のなかで、かつての栄光を失っていた。 多くの人たちが上海に帰る方法を考えていた。上海には、かつて知ったる暮らしがあり、子どもたちにも、よりよい前途が切り開けるはず……。青紅の父親も、そのように考えていた。 しかし、青紅にはまったく理解できなかった。その目にうつる貴州は、まさに彼女の家であり、貴州には別れがたい人――小根がいた。青紅は父親と激しく衝突するが、ついに、上海へ帰るという父親の決定に背くことはできなかった。その消息を聞いた小根は憤り、青紅と男女関係を持つに至ったのである……。 王小帥監督の前作『十七歳的単車』(17歳のバイク)と同様、『青紅』が描いているのも青春の物語である。同じように青春の始まりや、ささいな生活風景を描き、さらには同じ役者である李浜と高円円を起用している。 しかし、前作が明快で力強かったのに対して、『青紅』には重々しさと、登場人物の心の迷いが加味されている。「17歳」から「19歳」まで、王小帥監督のまったく異なる作品世界を見ることができるのである。(写真提供・新浪娯楽)
中国で、もっとも人気を呼んだコンピューターゲーム作品『仙剣奇侠伝』(仙剣)を改編したもの。 漁師の家に生まれた少年・李逍遥は、仙霊島で思いがけず南詔の姫・趙霊児と出会う。2人は互いに惹かれあい、結婚をする。李逍遥は、趙霊児を連れて彼女のふるさと新疆南部に赴き、その母を尋ねようとするのである。 この間、彼らは金持ちの娘でわがままな林月如、趙霊児の幼なじみの阿奴と出会い、趙霊児の身の上にまつわる多くの謎に気づいていく。その謎を解くために、彼らは新疆南部の奥地に分け入るのだが、何人かの運命がそこからもつれ合い出して……。 1995年、ゲーム版『仙剣』が、70年代生まれの若者たちを魅了した。その感動的なプロットに、多くの若者が涙を流した。10年後、テレビ版『仙剣』が各テレビ局で放送されて、人気を博した。 人々は普遍的に、この作品がプロットや人物設定だけでなく、セリフの面でも、現在のアイドル・ドラマの消費戦力――「80後」(80年代後半生まれ)の視聴者の審美眼にマッチしていると認識している。 ゲームからテレビまでの『仙剣』からは、この10年近くの青少年の審美眼の移り変わりを見ることができる。 ゲーム版『仙剣』は、李逍遥と趙霊児の死んでも変わらないという愛の展開や、2人のヒロイン・趙霊児と林月如の立て続けの死など、悲劇色の濃いものとなっている。セリフのなかにも多数、詩的な言葉が使われており、対話のなかに多くの古体詩が用いられているほどだ。 一方のテレビ版『仙剣』は、より楽しく賑やかなものになっている。複雑な恋愛、漫画チックな登場人物、笑いを誘うプロット、はやりの言葉など、ところどころで「古い『仙剣』」とはハッキリと異なる風格を示している。(写真提供・新浪娯楽)
ふつうの外国人が日本に着くと、まず最初に東京へ行くだろう。新宿から上野、渋谷、そして東京ディズニーランド(千葉県)まで。もっとも印象的なのは、あちこち歩くので疲れること、人が多く、自動車が多い。そして、異国という感じがしないことだ。パリはフランスの、ニューヨークはアメリカの、そして東京は日本の大都市であるということを、つい忘れてしまうように、独特な都市の風情をそこに探すのは難しくなっている。 日本を初めて訪れて、当惑してしまう友人に会うと、本書の筆者はこう言っている。「すぐに私のところに来てください。日本イコール東京ではない。本当の日本は、地方にある」 筆者は1997年に日本へ渡り、ある日本人と結婚。ふつうの町で、日本人とともに伝統的な生活を送っている。本書で彼女は、日本の生活でのさまざまな興味深いこと、絶えず発見される両国人の文化と性格の違い、相通じる感情や体験などを語っている。(海天出版社)
上海は2つの「都市」が折り重なってできている。1つは、現実のなかの上海だ。急速に世界のふところに抱かれる準備を整えた、現代化された大都市である。もう1つは、歴史の変遷を伝える、ノスタルジックな都市である。 上海にとっての1930年代は、発展のピークを迎えた一時期であった。当時のきらびやかな旧上海の風情は歴史の変遷とともに消えつつあるが、中国式と洋式を折衷した「石庫門」(上海独特の共同住宅)、外灘(バンド)にそびえる世界の建築群などは、いまでも旧上海の物語を伝えている。 本書は、上海で旧上海の遺跡をめぐりたい人のために、豊富で詳しい「街歩きガイド」を提供している。どのスポットにも詳しい地図やバス路線、写真をそえていて、さらには筆者が、そこにまつわる旧上海の物語を記録している。(新星出版社)
中国経済の持続的な発展が、世界にとって意味するところは何か? 日本と韓国が、ハイエンド製品からより多くの利益を上げるために、ローエンド製品の市場から退いた。その時、中国はローエンド市場を放棄しないことを選択するとともに、ハイエンド市場にも進出。本書は、そこに注目している。 中国問題の専門家として、筆者は30年以上にわたる中国経済環境の研究に基づいて、中国史を検証し、豊富な実情分析をすることで、次のような結論を導きだしている。つまり、中国大陸の経済の崛起は、日本やインド、「アジアニーズ」(シンガポール、香港、台湾、韓国)とは根本的に異なる。それは、1世紀以上前のアメリカの振興によく似ている――というものだ。(中国人民大学出版社) 『人民中国』おすすめのベストテン 1.『親歴可可西里10年――志願者講述』 楊欣など著 三聯書店 2.『文化人的経済生活』 陳明遠・著 文匯出版社 3.『頭文字D――電影写真書』 劉偉強、麦兆輝・編 接力出版社 4.『瑜伽自学天書』 余麗嬋・著 当代世界出版社 5.『顧城:生如蟻美如神』 江暁敏・主編 中国長安出版社 6.『多余的素材』 陳丹青・著 山東画報出版社 7.『縹緲録――九州系列』 江南・著 新世界出版社 8.『従推銷員到香港特首――曽蔭権伝』 竇応泰・著 団結出版社 9.『2004―2005年:中国伝媒業発展報告』 崔保国・主編 社会科学文献出版社 10.『北京城区角落調査No.1』 朱明徳・主編 社会科学文献出版社 |
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