頤和園の長廊画J 写真・文 魯忠民

 
 

   
 

陶淵明、菊を愛でる

  「菊を采る東籬の下、悠然として南山を見る」。人々によく知られているこの詩句は、東晋(317〜420年)の大詩人・陶淵明のもので、それゆえに、彼が、菊を愛でるという伝説が生み出されたともいえる。陶淵明の祖先は官吏で、彼も小さいころから読書家の家柄の影響を受け、広く多くの書物に接した。老子、荘子思想にも親しみ、そこから受けた影響は大きかった。何度か官職に就いたが、官界のかかわり合いに嫌気が差し、自然をとても愛していた陶淵明は、最終的に官吏を辞め故郷に帰り、農業に従事し、隠遁生活を送った。そして彼は、農民の苦しみを思いやり、平等で幸せな生活に思いをはせた。有名な著作『桃花源記』は、1つの理想郷の幻想を託したものである。

 
   
   
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北京の頤和園は、中国清代の離宮である。庭園にある長廊は、全長728メートル、世界でも最長のギャラリーと言われている。その梁の上には人物や山水、花鳥、建築など各種の彩色画が8000以上ある。なかでも人物画は中国の古典文学、歴史物語、神話伝説などから材を取って、描かれている。本誌では今月号から長廊の彩色画を1つずつ取り上げて、絵画に描かれた物語をご紹介していきたい。

 

   
 

 
本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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