「私たちの世界には問題が山積みだ。現状を変えなければ、2050〜2060年には、環境の悪化が人類共通の災難となるだろう!」
ローマクラブのホッホライトナー名誉会長は、9月に北京で開催された「21世紀フォーラム」の中で、「持続可能な発展――中国と世界」というテーマのもと、自分の憂慮を示した。
持続可能な発展は、全人類が直面している共通の課題だが、中国にとってはさらに特別な意義がある。1980年代から、中国の経済は急成長を続け、人民の生活レベルは大幅に向上した。
しかし一方では、少なからぬ困難や問題にも直面している。その1つが、経済・社会の発展と人口・資源・環境の間にある矛盾だ。
現在の国内総生産(GDP)は、1949年に比べると10倍以上に増えた。しかし、鉱産資源の消費量も40倍以上に増えた。
火力発電、鉄鋼業、セメント製造業のエネルギー消費の水準は、先進国と比べてそれぞれ、22.5%、21%、45%も高い。中国の耕地、淡水、エネルギー、鉱産資源はすでに経済発展を制約する大きな足かせとなっている。これまでの発展パターンを変えないのなら、資源・環境の危機を招くことは避けられない。
そこで、中国は持続可能な発展の戦略を選び、経済成長方式と経済運行パターンを切り替えて、経済・社会・環境の全面的な協調発展を実現しようとしている。
温家宝総理は「21世紀フォーラム」で、当面は就職、社会保障、貧困扶助、教育、医療、環境保護、安全生産などの問題の解決に力を注ぎ、人と自然、人と人が調和をとって発展する社会を築かなければならないと改めて強調した。
持続可能な発展の実現は、中国の経済・社会発展にとって大切なだけではなく、人類が長期的に直面する、深い戦略意義を備えた問題である。このような状況の下、中国が立てた持続可能な発展戦略は、中国の実際に符合しており、人類の社会発展の趨勢にも合致している。
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