社長になる能力のある女性は、何事も意のままに動かすことができる強い女性だという印象が、私の中にあった。しかし、目の前に立った王洪英さんは、意外にもわずか34歳。容姿端麗でしとやかな四川出身の女性で、聡明な中にも、わずかに幼さも残していた。そんな王洪英さんを見て、やはり彼女と社長の肩書きを関連づけることは難しかった。
王洪英さんは、1990年代の初め、清華大学外国語学部を卒業。その後米国、ロヨラ大学に留学。商工管理で修士の学位を取得後、招きに応じて、シカゴ商業取引所で働く。7年の仕事の期間、王洪英さんの業績はずっとトップで、事業は日増しに向上を続けた。
しかし、今まさに事業が順風満帆というとき、王洪英さんは、米国での全てを捨て2003年に帰国する。王洪英さんにとって、米国での仕事は満足のいくものだったが、お金を稼ぐ以外、達成感を得ることが少なかった。特に、中国国内の日々発展する光景を見て、彼女はためらうことなく北京に戻った。そして中関村で、ほかの人とともに、北京華夏網信科技有限公司を設立する。
王洪英さんの努力のかいあって、会社は米国の先進技術を導入し、その基礎の上に開発したのが、中、小規模図書館のためのソフト管理システムだ。これは、国内でまだだれも手をつけていない分野だった。価格も安く、利便性を備えたこのソフトは、またたくうちに中国国内に行き渡り、2年も経たず、200余りの取引先を持つに至る。多くの辺鄙な山里の学校図書館も、これを機にインターネット化の道を歩みだした。王洪英さんは言う。
「中国での仕事を通して、アメリカの仕事では感じることのできなかった大きな達成感を得ました。そしてこれからもっと、人里離れた地域の図書館が、インターネット化、現代化することが私の大きな願いです」
(写真=馮進 文=張春侠)
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