東京支局長 林崇珍

 



   

   日本に来て1年余り。よく耳にする言葉に「話せば分かる」があります。意見が違って、喧嘩になりそうになると、誰かが「話せば分かる」と言いだし、喧嘩にならずに済むのです。中国では「話不説不透」と言います。

   日本を訪問した弊社の于明新社長は、各地で『人民中国』の読者と交流し、中国の現状を報告してきました。9月3日は、神奈川県の大和地区日中友好協会主催で、日中交流談話会が開かれ、集まった30人ほどの人々に、8年近い日本駐在経験と中国各地の取材を踏まえて、「戦後の中日関係」や「歴史認識」「教科書問題」「三農(農業、農村、農民)問題」などを説明しました。

   参加者からは、さまざまな質問や意見が出ました。中でも多かったのは、今年4月に起こったいわゆる「反日デモ」と、中国国内の格差拡大に関する質問でした。

   ある参加者は「デモに参加したのがほとんど若者だったこと、彼らが『愛国無罪』のスローガンを叫んでいたことにショックを受けた。これでは日中の将来は難しいのではないか」と危惧感を示しました。

   また中国各地を旅行してきた別の参加者は、自分の目で見た体験から「中国の都市と農村、沿海と内陸の格差はひどい」と報告しました。

 
 

日中交流談話会の会場の前で歓談する小林副会長(右)と于社長

   于社長は、「個人的な意見」と前置きし、日本の首相の靖国神社参拝などに反対したデモ自体はやむを得なかった行動だとしつつ、「デモの中の破壊行為は決して許されません」と答えました。また、「三農問題が格差の拡大や一部の子どもが学校に行けない問題につながっていて、中国の最大の問題になっている」と述べました。

   こうしたやりとりを聞いていた主婦で友好協会の会員の林節子さんは「今まで、中国の人たちと交流しても、本音の交流は少なかった。戦争でひどいことをしたので、中国人と目を合わせて話すことができませんでした。今日の談話会のおかげで、これからはもっと率直に中国の人と付き合えると思います」と言っていました。

   この談話会開催を提案したのは、小林泰副会長(73歳)です。1977年に初めての訪中が実現してからずっと友好活動を続けています。「多くの人々が、いまの日中関係を心配している。だからこそ、われわれのような民間が、なんとかしなければならない。日中両国は切っても離れない関係ですから」と決意を述べていました。 (東京支局長 林崇珍=文・写真)



 
 

 
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