特集3 「シリコンバレー神話の中関村版」 |
孵化園を管理する委員会の責任者に聞く |
2000年の初めまでは、北京・中関村には、帰国留学生の創業を助ける「創業園」は、「海淀留学人員創業園」しかなかった。しかし、満員となり、2番目の帰国留学生創業園区である「中関村国際孵化園」が生まれた。 現在、中関村科技園区傘下には14カ所の帰国留学生の創業園があり、7000人以上の帰国留学生を集めて、2800以上のハイテク企業が創業されている。 帰国留学生はどうしてここで創業するのか、政府は帰国留学生にどのような支援をしているのか、帰国留学生は、中関村や北京の経済にいかなる影響をもたらしたのか――14の創業区を管理する中関村科技園区管理委員会の夏穎奇副主任に聞いた。 中関村と帰国留学生は「持ちつ持たれつ」 ――中関村にはどのような独自の優位性があるのでしょうか。 ――それなら、人材も自然に集まりますね。 夏副主任 その通りです。豊富な人材は、中関村のもうひとつの優位性です。現在、中関村地区には50万人以上の大学生がいて、今年の卒業生は15万6000人です。この他に、中国各地の大学の卒業生や海外から帰ってきた留学生、外国人の技術専門家もいて、みな、その素質は非常に高い。最近、我々が作った統計によると、現在、中関村にあるハイテク企業で働いている人は60万人で、その中の半分以上は学士の学位を持ち、20〜30%が修士と博士の学位を持っていることが分かりました。
――他にもありますか。 夏副主任 情報のリソースの優位性が挙げられます。新しく出される政府の政策や国内外の最新情報をいち早く知ることができます。各種の国際シンポジウムや記者会見などを通じて、米国のシリコンバレーや日本の筑波にハイテクの情報や市場の変動があれば、直ちにここに反映されます。中関村は国際市場の最前線にもっとも近いといえるでしょう。 ――政府は帰国留学生の創業にどんな支援をしてくれますか。 夏副主任 我々はシリコンバレー、ワシントン、東京、ロンドン、トロントの5カ所に、海外連絡所を設立し、海外留学生が帰国して視察するアレンジをしています。国内では、市と区の政府の38部門が集まって、園区内で仕事をし、留学生企業に対し、手続きを簡素化し、スピード処理するサービスを提供しています。さらに、留学生企業に法律や経理のコンサルティングを提供し、プロジェクトの推薦紹介活動を催し、科技園区と大学とのリソースの共有システムを打ち立て、我々と協力関係を持つ大学の図書館や実験室、設備機器をみな帰国留学生企業に開放しています。 この他、資金の面でも、全面的にバックアップしています。中関村科技園区管理委員会は毎年、帰国留学生の創業のために3000万元以上の直接財政資金を提供しています。これとは別に、少額の担保でよいローンや国の技術革新基金、中小企業発展基金による支援があり、それに加えて税金の減免もあります。 ――帰国留学生の企業創業は、どのような影響をもたらしていますか。 夏副主任 中関村の民営企業は、外資系企業との競争の中で劣勢でしたが、帰国留学生による創業が相次いで成功する中で、新たな局面が出てきました。まず、それが国内の企業に良いモデルの役割を果たしたのです。例えば、米国留学の厳望佳博士が創業した「啓明星辰公司」は、すでに20項目以上の国家クラスと省クラスの重点インターネット・セキュリティーのプロジェクトを完成させました。また、米国留学のオヒ中翰博士が創業した「中星微電子公司」は「星光」シリーズのデジタル映像チップセットを研究開発し、その年の国家の四大ハイテク成果の一つに列せられました。 中関村は将来どうなるか
――中関村の今後をどう見ますか。 夏副主任 今のところ、中関村の発展の勢いは素晴らしい。政府は毎年、「孵化器」に予算をつけているのは、帰国留学生の創業者が弱体であるからではありません。彼らにも資金はないが、将来、発展する前途があると見られているからです。 現在、全国23のナスダック上場企業のうち、10社が中関村にあります。2002年、25歳だった周雲帆さんと楊寧さんの2人が「空中網」を創業し、携帯電話へのサービスを始め、2004年にはナスダックに上場しました。先日、李彦宏さんが興した「百度在線」がナスダックに上場し、一日の株価上昇幅は五年来最高を記録しました。こうしたことを「シリコンバレー神話の中関村版」と私は呼んでいます。 ――今度の目標は? 夏副主任 長期的には、3大目標があります。第1は帰国留学生と彼らの企業を通して、世界一流のハイテクを研究・開発する。第2は、自分の企業を国際市場に出す世界的に有名な企業家を養成する。第3は、世界で名の通った多国籍企業を育成することです。 |
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