エンターテインメント&ブック
映画
『七剣』 (セブン ソード)

監督・徐克  出演・甄子丹、金素妍ほか

   『七剣』は、侠客(武侠)小説家、梁羽生の小説『七剣下天山』を改編したもの。物語は、1600年間に起こる。清の親王、多格多は「禁武令」を公布し、軍隊以外の人々はかってに武術を習ってはならないというものだった。前王朝から降伏した名手“風火連城”を派遣して、各地の「禁武令」に違反して武術を習っている人々を討伐する。そして“風火連城”の勢いは、西北辺境の小さな村の武荘まで広がり、武荘の情勢は非常に差し迫っていることを感じた医者の傅青主は、二人の若者、武元英と韓志邦を引き連れ天山に赴き、俗世間を離れた名手、晦明大師の助けを探し求めるのだった。

  晦明大師は、剣を鋳ることに夢中になっていた。今の非常時に晦明大師は、生涯の心血を注いで鋳た7つの宝剣を、自らの4人の弟子、救援を求めに来た3人の客人に贈る。それは、互いに力を合わせ、“風火連城”の残虐な殺戮を止めてほしいと願ってのことだった……。

  この映画の監督、徐克は(『笑傲江湖』(スウォーズマン)『黄飛鴻系列』(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ シリーズ)など、多くの経典武侠映画を撮影しており、今まで耽美的なスタイルがよく知られている。しかし『七剣』の中では、転じて素朴な人々を登場させ、写実的な武術の動作を用いることで、今まで神格化された侠客のイメージではない、人間らしさを表現している。

  本映画の上映時間は162分と長く、近いうちに4時間の完全版DVDが発売される。それにともなって、中日両国の漫画家の手によるアニメ版、『七剣』も作られ、あわせて5部の続編も計画されている。しかし、『七剣』が本当のブランドとしての価値を持ちうるかどうかは、市場の検証を待たなければならない。

『桃花燦爛』

監督・傅華陽   出演・周韵、郭小冬ほか

 70年代、武漢。知識分子の家庭出身の星子は、高校を卒業後、駅の積み卸し場で仕事をするために小さな駅にやってきた。そこで鉄道の労働者、陸セイと知り合う。2人は、毎日顔をあわせる中で、徐々に愛情が生まれる。ほどなく、大学入試の募集が拡大。星子と陸セイはともに試験に参加し、大学に進もうと約束するのだが、意外にも陸セイは、両親の意見におされ、大学受験をやめ、積み卸し工の仕事に留まる。星子は、陸セイのこの行動が理解できず、陸セイとけんかになってしまう。2人の家庭環境の違いや、これからの異なる将来を考え、ますます苦しむ陸ム。そんなある日、酒に酔った陸セイは、同じ仕事場の女性作業員、水香と一夜をともにしてしまうのだった。

  星子は大学に合格。陸セイも、積み卸し場長から抜擢される。星子がまもなく仕事場を離れようとする時、陸セイは星子に愛する気持ちを伝えるが、星子は彼の過ちを許すことができない。そして、つらさをこらえながらも星子は、彼を拒み続けたのだった。あんなに愛しあっていた2人は、これからすれ違ってしまうのだろうか。

 『桃花燦爛』は、本映画の監督・傅華陽の処女作。創作のインスピレーションは、アンデルセンの童話『柳の木の下で』からきている。映画中の俳優たちは、無理のない演技で、物語が自然に進行している。デンマーク、コペンハーゲンの映画祭で、本映画は、「アンデルセン精神の完璧な演繹である」と、アンデルセン栄誉賞を受賞した。

推薦書

石光華・著
中国美食地図系列・四川巻『我的川菜生活』
(中国美食地図シリーズ・四川の巻―私の四川料理生活)

  詩人・石光華が、初めての本を出版した。といっても詩集ではなく、『我的川菜生活』という料理に関する随筆だ。作者の、思いつくまま書きつづられる言葉の端々からは、料理の世界の奥深さを垣間見ることができる。作者は、泡菜(四川つけもの)、野菜料理、サン水(調味料)(四川独特のタレ)に、工夫をこらし、かつて材料をうまく使えなかったときの後悔、料理を作る際に得られる、ささやかな新しい発見の喜びなどの記述は、読む者に深い印象を与える。

  石光華は、生まれも育ちも四川。四川料理の、基本的な材料の紹介から始まり、四川料理の歴史、四川の町、個人的な成長の物語などにもおよんでいる。この本は、四川料理の文化のために作り上げた、とても詳細で面白い紹介であると言っていいだろう。そして、四川料理がただ麻辣(舌がしびれ辛い)だけという、人々の浅はかな印象を拭い去ってくれる。

  本の中には、多くの写真や解説、伝統的な四川料理を作る上での手順もあり、とても実用的である。(陜西師範大学出版社)

余華・著
『兄弟』(兄弟)

  小説『兄弟』は、江南の小さな村の義兄弟、李光頭と宋鋼の人生が語られており、「文化大革命」の時期と現在が、上下2巻で構成されている。西洋人が400年生きてやっと経験する天と地ほどに違う時代を、中国人はたった40年で経験してしまった。そして、この2つの時代をつなぐきずなが、つまりこの兄弟2人である。彼らの運命と2つの時代は同じように、天地がくつがえるほど変化し、恩と仇とが交錯するという物語である。

  この本は、作者・余華の『活着』『許三観売血記』の後、10年ぶりの長編小説になる。一貫して作者は、冷静、淡々と叙述を行っている。以前の作品と比べて異なるのは、『兄弟』の中で展開する、苦難、死など、残酷な現実を描く断片の中に、こまやかなやさしさが、ほかの作品より多く表現されている点だ。このような残酷な中でのやさしさは、まさに、『兄弟』の最も読者の心を打つ所でもある。(上海文芸出版社)

阮次山・著
『透視日本』(観察日本)

  本書は、著名な時事評論家、阮次山が、日本の政治の動向を、率直に評論した選集。この10年、中日両国間に起こった、いくつかの重要な事件や問題を重点的に結び付け、中日関係を分析している。主に、中日関係の中での台湾問題、日米の関係および中国への影響、日本の国連安保理常任理事国入りの問題、シベリアの石油パイプラインを引く問題をめぐる中日間の争い、中日間の釣魚島問題および東中国海の争い、中日の歴史問題などが焦点になっている。

 作者の阮次山は、鳳凰衛星テレビの首席評論員。『時事大参考』『風雲対話』の番組の司会をし、各国の政府要人との対談を行うとともに、豊富な資料を収集している。また、同テレビの『新聞今日談』の評論員を担当し、経験、見聞ともに豊かで、きわめて優れた見解は有名である。(九州出版社)

『人民中国』おすすめのベストテン

1.『我的諾曼底』  唐師曽・著 長江文芸出版社

2.『灰商』 曹建偉・著 長江文芸出版社

3.『我与胡適先生』 周汝昌・著 漓江出版社

4.『水嵐村紀事:1949年』 王振忠・著 李玉祥・写真 生活・読書・新知三聯書店

5.『夢幻旅遊−古村老鎮』 李立鈔・著  陜西師範大学出版社

6.『白先勇自選集:台北人』 白先勇・著 上海文芸出版社

7.『考吃』 朱偉・著 中国人民大学出版社

8.『浮世与春夢:中国与日本的性文化比較』 劉達臨・著 中国友誼出版社

9.『在出版界二十年』 張静廬・著 江蘇教育出版社

10.『医生杜明』 小汗・著 作家出版社



 
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