チャイナスコープ
調和のとれた社会の構築を
「計画経済」にピリオドを打つ
                                      張春侠=文・写真

「第11次5カ年規画」の期間、農村部の義務教育はすべて無料になる。

   「中国は今後5年、公平さとバランス、持続可能な成長をたゆまなく追求していくことだろう」。アジア開発銀行駐中国代表処のチーフエコノミストである湯敏氏はこう述べた。

   10月8日から11日まで、中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議(16期5中全会)が北京で開催され、412万という広範な民衆から吸い上げた意見をもとに、2006年から2010年までの国民経済と社会発展計画の提案を審議・採択した。

   新しい「5カ年規画」は、科学的発展観を基礎として、経済成長の方法を速やかに転換させ、都市と農村部の協調発展の促進、義務教育や公共衛生・安全の強化、環境や自然生態の保護、そして調和のとれた社会の建設などを明確に打ち出している。

   1978年に「改革開放の総設計師」であるケ小平が提案した「一部の地域や人々を先に豊かにしよう」という主張により、中国の経済発展は、前代未聞の成功を収めた。統計によると、1978年から2004年のGDP(国内総生産)の年平均伸び率は8.6%だった。現在、1人あたりのGDPは1000米ドルを突破し、2020年には3000米ドルに達すると予想される。

   しかし、急速な発展の一方で、社会のバランスが崩れ、都市と農村部の格差がさらに広がり、両極化が日増しに深刻になっている。政府の研究機関の推計によると、東部の最も豊かな省と西部の最も貧しい省の一人あたりGDPの差は、すでに10倍にも広がっており、都市と農村部の収入の差は、5から6倍に達している。

   中国政府も、貧富の差の解決や、社会の公平の維持と調和のとれた発展を早急に行わなければならないと意識し始めた。そこで、長年行ってきた経済の高度成長を重視する発展パターンを切り替え、「調和のとれた社会の構築」を主な内容とした「第11次5カ年規画」を制定した。

   これまでの「5カ年計画」とは違い「規画」という表現に改められて、中国は計画経済にピリオドを打つとはっきりと示している。このことは必ず、将来の発展に深く影響を与えるだろう。



 
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