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日本を訪問した際に地元大学生と。左が陶雨竹さん。(写真提供 陶雨竹) |
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北京第二外国語大学日本語学部を卒業した陶雨竹さん。友達の目からは、想像力豊かで、とても個性的な女性だと映っていた。時間のあるときには、日本の漫画『幽遊白書』の人物トランプを描いたこともあった。そして卒業論文のテーマに彼女が選んだのは、日本の「妖怪」についてだった。
大学で行われた日本語による演劇大会では、『新・鶴の恩返し』を上演したこともある。ストーリーは、1人の女性が一羽の鶴を助けるというふうに変わった。鶴は男性に姿を変え、恩返しをするためにやって来るが、彼女は、豪族の家柄だったため、何の要求もなかった。そこで男性は何もできないと失望するが、最終的に、自分の愛情で女性に幸せをもたらした。
大学卒業後、陶雨竹さんは、ある有名な日系企業で働き始めた。しかしそれまでにはこんな経緯がある。卒業前、現在、彼女が勤める日系企業の会社説明会が最初、上海で開催されることになっていた。陶雨竹さんは、アルバイトでためたお金で汽車の切符を買い、なるべく早くチャンスを手にするため、上海に駆けつけた。
面接官は、彼女がわざわざ北京から面接にやってきたと聞き、驚いた様子で、来月北京でも会社説明会があるのに、なぜ上海にまで来たのかと訊ねた。
陶雨竹さんは、1つ1つのチャンスをつかみたいと答え、たとえ今回、採用されなかったとしても、いい経験が積めると言った。
もしかしたら、その彼女の強い思いが面接官の心を動かしたのかもしれない。そして、北京で行われた会社説明会の採用者席には、実習生の陶雨竹さんが座っていた。
現在、陶雨竹さんの同級生の多くが、自分の実力を発揮し、起業したいと思っている中で、彼女は日系企業に留まることを選択した。現在の仕事はとても忙しいが、多くのことを学ぶことができると語る陶雨竹さん。それに今、お母さんと一緒に部屋を借りて住んでおり、部屋代や生活費の足しにするための安定した収入も必要だと言う。彼女にとって家族との生活、ボーイフレンドへの気持ちは、一貫して最も大切なものなのだ。(表紙写真=馮進 文=高原)
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