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郭敬明 |
中国で「80後」といえば、1980年以降に生まれた若い作家たちのことだと言われていたが、現在は、韓寒、郭敬明を代表とする流行文学作家のことを指している。
以前、中国文壇の主流は、莫言や余華など、5、60年代に生まれた中年作家だった。彼らの作品は、意味が深く、考え方も着実で、社会の責任感に富んでいた。そのため、彼らは次の世代の作家の創作に大きなプレッシャーを与えると考えられていたが、「80後」の作家たちの突然の台頭により、その心配は、まったく余計なものだった。今のところ「80後」の作品は、青少年や、ホワイトカラー層の安定した読者を持ち、常にベストセラーの上位に名を連ねている。
「80後」の作家は、激動の歳月を経験しておらず、物に恵まれ、好んで外国文化を受け入れる。それは、彼らの作品と前の世代の作家たちの作品との大きな違いをもたらした。またとても自己的で、命名されたり、分類されたりすることを嫌い、自分の作品は、他の人の作品とは全く違うと信じている。しかし、普通の読者から見れば、彼らの作品は、明らかに共通点がある。
彼らは、大学や中学・高校内での恋愛生活や、架空の幻想物語を主に描いている。そして、内容より、感情の動きや、その感情を適切に書き表わすことに重点を置き、荒唐なことやあるいは哀愁を好む。また、成熟していない少年の物語を、人生や宿命といった問題にまで昇華させようとしているが、残念ながら実力が伴っていない。文章には、現実への絶望や軽蔑が含まれ、本来持っている無邪気さと悪賢さが現れている。
「80後」作家の中で、最も人気のある一人が郭敬明である。デビュー作の『幻城』は、内容、イメージとも、明らかに日本のアニメに大きく影響を受けており、中学・高校生が彼の作品を好んでいるのはそのためである。
その後、出版された『島』シリーズは、郭敬明の書いた文章だけでなく、本人の写真も掲載され、作家というよりまるでアイドルのようである。しかし、彼自身、アイドルとして思われることを意に介していない。そして彼は、自分のことを作家でなく、真面目に文字を書く者だとし、書きたい時に書き、日記を書くように文章を書いていると語っている。
確かに、「80後」の作品は、内容が個人化し、ナルシズムでさえあり、まるで「自己陶酔」しているかのようだ。しかしこの「自己陶酔」の作品は、いつの間にか、多くの若者の心を動かしていた。
関連作品 「80後」代表作家の作品
韓 寒 |
『三重門』(新版) |
作家出版社 |
2004年 |
郭敬明 |
『幻城』(新版) |
春風文芸出版社 |
2005年 |
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『1995〜2005夏至未至』 |
春風文芸出版社 |
2005年 |
張悦然 |
『十愛』 |
作家出版社 |
2004年 |
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『葵花走失在一八九〇』 |
作家出版社 |
2003年 |
孫 叡 |
『草様年華』 |
遠方出版社 |
2004年 |
許 佳 |
『最有意義的生活』 |
春風文芸出版社 |
2004年 |
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