紅茶は、イギリスから来たと思っている人がいますが、中国が原産で、後にヨーロッパへ伝わったものです。製茶方法の違いで、小種紅茶(正山小種)、工夫紅茶、紅砕茶の三種類に分けることができます。
@小種紅茶
中国紅茶の初期、16世紀に福建省武夷山一帯で製造され始めました。1610年、オランダ商人がヨーロッパにもたらしたのは、福建省崇安県(現在の武夷山市星村鎮)で作られた小種紅茶です。
A工夫紅茶
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祁門紅茶を味わうミスワールドたち |
中国特有の紅茶品種で、伝統的な輸出品です。中国では20の省が茶葉を産出していますが、そのうち12の省は工夫紅茶の生産を試みています。それゆえ、工夫紅茶の品種は多く、産地も広いのです。地名で分けるとチン紅工夫、祁門工夫、浮梁工夫、寧紅工夫、湘江工夫、ビン紅工夫(坦洋工夫、白琳工夫、政和工夫を含む)、越紅工夫、台湾工夫、江蘇工夫および粤紅工夫などがあります。
B紅砕茶
中国での紅砕茶の生産は比較的遅く、20世紀後期から始まりました。近年、生産量が徐々に増え、質も高くなってきています。
★祁門(きもん)紅茶
祁門紅茶は祁紅とも呼ばれ、黄山西南の安徽省祁門県で産出されます。紅茶の中でもトップレベルの茶葉として、国内外で高い評価を得ています。これまでは、祁門の周辺で製造された紅茶も含め、すべてが祁紅と呼ばれていましたが、今では、祁門の西北の池州市で作られるものは「池紅」と呼ぶなど、区別するようになりました。
祁門紅茶の茶葉の特色は、外形が細く長く締まって、黄金色のうぶ毛が見え、ツヤのある黒色であることです。淹れた茶湯と茶葉は明るい赤色になり、その馥郁たる香りはリンゴや蘭の香りに似ていて、香りが長く持ちます。世界の人々はこの香りを「祁門香」と呼んでいます。ミルクを入れると爽やかなピンク色のミルクティーになり、美味しく飲めます。
祁門紅茶は、インドのダージリン、スリランカのウバと並んで世界三大紅茶と称されています。
【ワンポイント・メモ】
紅茶は、一般的にミルクティーやレモンティーにして飲むことが多いようですが、原産地である中国では、緑茶などと同じように紅茶自身の味を楽しみます。ですから、何も混ぜずにそのまま飲んでみてください。紅茶本来の素朴な味わいがあります。 |
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棚橋篁峰 中国茶文化国際検定協会会長、日中友好漢詩協会理事長、中国西北大学名誉教授。漢詩の創作、普及、日中交流に精力的な活動を続ける。
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