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念願だった中国での勤務を実現し、現在、生まれ故郷でもある遼寧省の省都、瀋陽市で営業の仕事をしています。
瀋陽と聞くと、馴染みが薄く、あまりいいイメージを持たれないと思いますが、近年著しい発展と変容を遂げており、住みやすい文化歴史都市に変わりつつあります。日系企業は少ないもののとてもまとまりがあり、親睦行事など毎回たくさんの方が参加し、アットホームで親しみやすい感じです。
日系3世でありながら、全く中国語を話せなかった自分が、中国に興味を持つきっかけとなったのは、高校卒業と同時に帰郷も兼ねた一人旅でした。
街は、「人山人海」で人だらけ。交通マナーも悪く、短気な人が多いせいかクラクションが鳴り止まない。騒音にも近い大音響でかける流行歌に負けじと大声で話す人々。あまりの煩わしさに眩暈がしましたが、そこには中国の計り知れないパワーがあり、活気に満ちたこの国で、忘れかけていたものを取り戻そうと留学を決意したのがこの瞬間でした。
その後の留学で得たものは語学力だけではなく、自分の境遇も理解し受け入れてくれる友人との出会い、特に中国の文化や歴史に興味を持ち、中国が好きでこの地に集まってきた日本人との出会いは、私に大きな影響を与え、胸を張って日系3世だと言えるようになりました。ずっと負い目であった部分を自信に変え、渡日してから20年以上経った今、生まれ故郷で働ける喜びをかみしめています。
留学の時と違い、楽しいことばかりではありませんが、女性の多い職場で日本のような複雑な人間関係は全くなく、プライベートでも一緒に和食を作ったり、ヨガの教室に通ったりと充実した日々を過ごしています。
特にランチ時は賑やかで、全員で持ち寄ったお弁当を広げ、10品ぐらいの料理をみんなで食べています。私がお弁当を持ってきていない日は外食に行くのを止められ、全員の分を少しずつ分けてくれるので、毎日炒め物から海鮮、スープに至るまで、ちょっとしたコース料理が楽しめます。食事の時間を何よりも大切にする中国ならではの光景ですが、こんな「熱情」で親切に接してくれるのも東北地方独特の温かさなのでしょう。
仕事柄、帰任する方にお話しを伺う機会が多いのですが、「瀋陽はよかった!」と皆さん口を揃えて言います。冬が厳しく気候は決していいとは言えませんが、日本人同士のつながりや、現地スタッフとの関係など、非常に充実しているからだと言えます。
現に帰任後も長期休暇の度に遊びに来る方が多く、瀋陽はこの街に住んだ人にしか分からない良さがあるのかもしれません。そして何より、相手の年齢や役職を気にせず、長く付き合える友人との出会いがここ瀋陽にはあります。
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【プロフィール】
中国遼寧省生まれ。1982年六歳の時に渡日、2003年帰化。トヨタ系販売ディーラー、非鉄金属商社経理課を経て、2004年3月より現職。主に旅客営業担当、瀋陽日本人会事務局窓口も兼任。趣味は旅行。とにかく地図を見るのが好き。知らない土地でも迷わず目的地へ。
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