東京支局長 林崇珍
 



   

 シルクロードは中日両国で非常に親しみをもたれています。1980年、中日共同制作によるスペシャル番組『シルクロード』(中国語題:絲綢之路)がそれぞれのバージョンで両国でほぼ同時に放送され、大きな話題を呼びました。

 日本では昨年の元日から、同じく共同制作による『新シルクロード』が放送されました。『新シルクロード』関連の書籍や映像出版物が各書店の店頭にずらりと並んでいる風景は、まだ記憶に新しく残っています。中国でも今年3月に『新絲綢之路』という題で同番組が放送され、話題になりました。シルクロード観光についての問い合わせが殺到し、シルクロードの観光シーズンも例年より早くなったそうです。

 そんな折、中日韓が共同で推進する「サムスン・シルクロード文化財保護フェローシップ」の調印式が3月28日、東京で行われました。同フェローシップは、日本の文化財保護・芸術研究助成財団(東京都台東区、平山郁夫理事長)、中国国家文物局、韓国サムスングループの協力による文化財保護・修復の専門家育成プログラムで、今年から2010年までの5年間で専門家100人の育成を目指しています。

 
 

フェローシップの調印式に出席した中国国家文物局弁公室の王剛副主任(右)、文化財保護・芸術研究助成財団の平山郁夫理事(中央)と日本サムスン株式会社のイ・チャンヨル(李昌烈)社長(左)

 このプログラムを推進するために、中国側は中国全土から若手研究者(3年以上の現場経験をもつ、40歳以下)を募集、日本側は専門家を中国に派遣して若手研究者を指導、韓国側は総額約1億4000万円の賛助金を提供するそうです。また、日本では、サムスンが主体となって運営資金の募金活動も行っています。

 東アジアの国々は、古来より密接な関係を結び、互いに学びあい、より広範な地域文化の背景の下でそれぞれ独自の文化を育んできました。その際、文明間の交流を促進したシルクロードは、より一層多彩で豊かな文化を生み出すため、大きな役割を果たしました。ところが現在、その保護は、経済的・技術的な理由によって非常に困難な状況にあり、長期的な保護体制を確立する必要があります。このため今回、三国共同で人材育成プログラムを実施することになりました。
 
 シルクロードを合言葉に、東アジアの各国は今、ともに古代の人々の交流の姿に学び、手を携えて共通の文化財を守り、新しい文明を進化させる時期ではないかと思います。

 
 

 
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