カルチャー&エンターテインメン


人とのつながりを求める 今どきのゲーム事情
                                                                                       高原=文

ファッション雑誌に紹介された「警匪遊戯」

 バーチャルな世界を一人で楽しむゲームから、直接多くの人たちとコミュニケーションをしながら楽しむゲームが、中国で広がっている。

 毎日、パソコン相手に仕事をする若者たち。閉塞された環境の中で、ゲームを通して人とコミュニケーションを図る方法は、ゲーム世代の、新しい人とのつきあい方のようでもある。

ゲームを通して コミュニケーション

 今の若者の娯楽で一番関心を集めているのは、間違いなくネットゲームだろう。そして人々が思い浮かべるのは、ひきこもりぎみの青年が自分の小さな部屋で、ずっとパソコンの画面を見つめ、オンラインゲームに集中している姿ではないだろうか。

 しかしその姿は、全ての若者を代表しているわけではない。時間の経過とともに、ネットゲームをしてきた多くの若者が、そのゲームにうんざりし始めた。それは、バーチャルなストーリーや人物のネットゲームがどんなに本物そっくりでも、現実に人とコミュニケーションするほど面白くはないからだ。

 そして新しいゲームが生まれた。それぞれの形態は異なっているが、テーマは同じ「コミュニケーションは最高」というゲームである。

メッセンジャーを使った 言葉のゲーム

 インターネット上で、登録したメンバーとリアルタイムに会話を楽しめるMSNメッセンジャーは、一人の相手とだけでなく、多くの人と会話やゲームもできる、コミュニケーションサービスだ。

 MSNメッセンジャーは、最初、オンライン上で会話を楽しむチャットのツール(道具)だった。他のチャットのツールに比べ、MSNメッセンジャーは、プライバシー保護の信頼性が高いため、親しい友人とのチャットや、会社の同僚の間でファイルを送るのに使われていた。
 
 MSN メッセンジャーでチャットをするときは、それぞれ自分の公開する名前や入力メッセージを入力できる。これは自由に変更でき、字数の制限もなく、 メッセンジャーに登録されている自分の友人もそれを見ることができる。個性的な若者は、毎日自分の「表示名」を変え、短い言葉や文章でその日の気持ちを表し、最近身近に起こった、珍しくておもしろい話を「表示名」としてつけている。それはすでに、「表示名」という呼び名の機能ではなく、個人的な感想を発表するためのものになっている。

 MSNメッセンジャーの新しい遊び方は、ますます多くの人に受け入れられ、「表示名を替えるゲーム」として、広く伝わっている。

 多くの人は毎日会社に着くと、すぐMSNメッセンジャーを開き、今日の友人の「表示名」は何かを確かめる。

 例えば、「関わり合うにつれてズレていく…」という少し意味ありげな「表示名」をつけた友だちに、どういう意味かを聞いて、その真意を確かめる。人によっては、毎日色々考えを絞り、注目されるような「表示名」を作る人もいるほどだ。

 働いている人のほとんどは、毎日コンピューターに向かって仕事をし、平日、友人と会う時間も少ない。そのため「表示名を変えるゲーム」を作り、単調で閉鎖した仕事場という環境に、自分のための窓を開いた。そしてさらに多くの人と交流するチャンスを作って、自らを表現する機会を作り出したのだ。

人とのつながりを求めて

 「警匪遊戯(警察と犯人ゲーム)」は、ここ1、2年、若者の中でとても流行っているゲームの一つだ。多くの人たちがゲーム機を捨て、実際に人と接して行うグループゲームに参加している。
 
 「警匪遊戯」のルールは少し複雑だ。まずゲームの主宰である裁判官役が、警察と犯人役を決めるために、役割が書かれたカードを参加者全員に配り、警察、犯人役を確認する。そして裁判官のヒント、その場にいる人たちの言動や表情、態度から推理と論争を行って、犯人を探し出していく。
 
 面白いのは、親しい人と一緒に「警匪遊戯」をすると、知らず知らずのうちに、現実の生活の中での情況と人間関係をゲームに持ち込んでしまうことだ。普段悪ふざけをする人は、よく犯人だと思われがちで、真面目な上司は警察官だと思われる。この時、ゲームはただのゲームではなく、日常生活の続きのようである。
 
 今、中国の多くの都市には、「警匪遊戯」ができる専門のカフェがある。多くの人はそこに集まってゲームをし、コーヒーを飲みながら雑談をして友だちになる。
 
 「警匪遊戯」はネットゲームに比べて、人々の娯楽への求めを満足させるだけではなく、人々が集まってコミュニケーションできるという要求にも答えている。それは、一日中、デスクに向かって仕事する若者を、強く引きつける力があることは確かだ。



 
本社:中国北京西城区車公荘大街3号
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