|
左のカラフルな糸で巻かれているのが龍鬚茶。右は工芸茶 |
前回紹介した花茶と同じように茶葉と花を併せたお茶に、工芸茶があります。その名の通り、お茶を細工して花を併せ、目で見て楽しむものです。
本来のお茶と違うこともあり、最初はあまり流行りませんでした。しかし、1990年代に入ってさまざまな工芸茶が登場し、おしゃれなお茶として人気が出ています。
はっきりとは分かっていませんが、工芸茶の祖先は福建省武夷山八角亭の龍鬚茶のようです。清代に始まるこのお茶は、烏龍茶をさまざまな色の糸で束ねることによって美的感覚を出したお茶でした。
現在の工芸茶は、1986年に安徽省黄山市の汪芳生氏によって考案された黄山緑牡丹が最初のようです。
このお茶は見た目も美しく、飲んでも美味しいので大変人気が出ました。その結果、次々に新しいお茶が考案され、著名なものだけでも錦上添花、千日紅仙桃、海貝吐珠、七仙女、カーネーション仙桃などがあります。
その他にも様々な会社が幾種類もの工芸茶を作って売っています。これらの工芸茶は細工の技術が向上したことにより、茶葉の中から白菊や茉莉花(ジャスミン)などが現れ、水中花のような美しさがあります。
当初は見た目の美しさに注目が集まっていたのですが、近年は香りも高く、良い茶葉が使われるようになり、美味しく飲めるようになっていますので、楽しい喫茶の時間を過ごせます。
工芸茶は福建省、安徽省、江西省などで多く作られているようですが、安徽省系のものは、菊を加工したものが多く、福建省系のものは、ジャスミンを加工したものが多いようです。もちろん、様々な花が加工に用いられているので、各々の特長を活かした工芸茶を楽しむことをお薦めします。
現在中国でも、工芸茶は非常に人気があり、新しいアイディアで新しいものが作られています。今までのものだけではなく、新しい工芸茶にも注目したいものです。
|