『空山』は、有名なチベット族の作家、阿来の最新長編小説。1994年に書かれた長編小説『塵埃落定』は、20世紀の初頭から半ばにかけての、あるチベット族の土司(元・明・清時代の少数民族の首長で、世襲の官職を与えられた者、または官職を授けてその地区の人民を支配させた制度)一家の盛衰物語で、濃厚な民族性や神秘的な雰囲気に満ち、評論家や読者から高く評価された。
『空山』は3巻からなり、1950年代から90年代のあるチベット族の村に起こった6つの物語が書かれている。
今回出版された第1巻には、『随風飄散』と『天火』が収録されている。『随風飄散』は、私生子の格拉と痴呆ぎみの母親が、周りの差別を受けながら苦しい生活を営む様子が、『天火』は、祈祷師の多吉が、森林火事の中で出会った思いがけない出来事が描かれている。
2つのストーリは、ともに阿来のスタイルが一貫しており、普通の人の生活を冷静に細く描写することで、時代の変遷を反映している。 人民文学出版社 2005年5月 25元
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