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王府飯店 |
贅沢な都市には贅沢な場所が必ずある。中国でもっとも贅沢な都市は上海で、北京はその次だと言われている。伝統的な建築様式のため、北京の贅沢さは大きな屋根を被ったガラス張りの建物の内部にあることが多い。
北京は国際的な大都市であり、大きなホテルは各市街区に分布している。5つ星より高級の「超5つ星」と言われるホテルが1軒(国際倶楽部飯店[セント・レジス])、5つ星ホテルが20軒以上、4つ星ホテルが30軒、3つ星ホテルが80軒余りある。
一番立派な5つ星ホテルは、中国国際貿易センター建築群に属する中国大飯店(チャイナワールド)だ。幅80メートルの湾曲した建物で、褐色のガラスが張り巡らされ、ゆったりとした雰囲気と神秘的な感じを醸し出している。
王府井にある王府飯店(ペニンシュラ)のロビーはとても華美だ。夜になると、ライトアップの光が地面から建物の上層部まで貫き、きらきらとした光によって作り出された美しい仙境に身を置いている気持ちになる。ここには有名なブランドショップ・アーケードがあり、世界最高級の商品が並んでいる。数百万元するヴァシュロン・コンスタンタンやロレックスの時計、数十万元する北欧製のベッドなど……。ここの商品のほとんどは万元単位だが、売れ行きはよく、購入者の8割は中国人だという。
北京飯店も有名な5つ星ホテルだ。西側にある貴賓楼飯店とともに、長さ200メートル以上もある建築群となって、天安門広場の東北に堂々と存在する。歴史あるホテルであり、北京ではごく少数の中国独資の5つ星ホテルだ。
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国際倶楽部飯店 |
長富宮飯店(ニューオータニ)、凱賓斯基飯店(ケンピンスキー)、長城飯店(シェラトン)も特色ある5つ星ホテルである。
長富宮飯店はホテルニューオータニとの合弁経営で、建国門立体交差の東南に位置する。メーンビルの高さは80メートル、淡い色の建築群で構成されている。日本式の簡素ですっきりとした威厳のある風格で、表立っては意気揚々とせず、才気を内に秘めた佇まいだ。ここの日本料理店はなかなかいける。
亮馬河にある凱賓斯基飯店はドイツとの合弁で、ショッピングセンター「燕莎友誼商城」(ルフトハンザ)やレストラン、オフィスとともに一体となり、高さ45メートルのヨーロッパ式の建築群を構成している。褐色の石壁と黒いガラスが用いられ、落ち着いた崇高な佇まいである。このホテルにある自店でドイツビールを醸造しているビアホールは非常に有名だ。
凱賓斯基飯店近くの長城飯店は、1980年代初期に北京と米国の合弁で建設されたホテルで、東三環路(東第三環状道路)沿いにある。建設当初、北京の建築家の多くは、その銀色がかったねずみ色のガラス張りの建物は、古都の風格と調和がとれていないと考えていた。しかし20年経った今、東三環路のビジネスセンター地区の中で、その美しさは際立っている。
釣魚台国賓館は中国園林式の5つ星ホテルで、その18号楼では、これまでに数多くの海外の国家元首をもてなしてきた。私もそこへ行ったことがあるが、緑の多さと小さな湖の中で遊ぶ数羽の白鳥に感嘆の声を禁じえなかった。
北京の5つ星ホテルは、ほとんどが市の東部にある。王府井一帯に6軒、東三環路沿いに8軒、東二環路沿いに4軒。この辺りは北京でもっとも国際的な地区でもあり、大きなホテルの多くは大使館区の周辺に分布している。
現在は、王府井の東方広場、西単の時代広場、亜運村の名人広場に5つ星ホテルを建設中だ。
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中国大飯店内の海外ブランド・ショッピングモール |
ホテルは人間が追求する贅沢さと快適さの産物である。今やすべてがインテリジェント化され、通信、セントラルエアコン、消防、安全、サービスの完備によって、知能や命を持った一つの生き物のようになり、冷ややかな鉄筋コンクリートの建築物ではなくなった。
しかし、多くの中国人にとって、4つ星以上のホテルに泊まるのは夢のようなことである。北京の5つ星ホテルのレギュラールームは、1泊300ドル前後する。4つ星ホテルで150ドル、3つ星ホテルで80ドルぐらいだ。5つ星ホテルで1カ月暮らすには、年収4万ドルの米国人だったら、収入の5分の1余りだが、月収2000元の中国人にとっては、3年間分だ。
オリンピックを迎えるにあたり、北京は新しいホテルを建築したり、古いホテルを改築したりして、数百万人の受け入れを可能にする。北京のホテル業は今後、大きな発展の余地があると言えよう。
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