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元国家体育運動委員会副主任、アジア武術協会主席 徐才さん |
――太極拳は世界に普及しつつあるのでしょうか。
徐才さん(以下、徐と略す) 現在、アジアでは、中国、日本、韓国、東南アジアなどに多くの愛好者がいます。フランスやメキシコなどでも、公園で太極拳をする人たちを見ることができます。米国の航空宇宙局(NASA)では、太極拳を宇宙飛行士養成のプロジェクトの一つにしています。
――太極拳はどうしてこんなに世界に広がったのですか。
徐 太極拳は、軽く柔らかで、身体全体の調和を取る運動です。場所はどこでもよいし、修練する人の年齢もほとんど制限がありません。
太極拳が普及し、発展した背景には、現代社会のハイテク化があります。米国の未来学者のジョン・ナイスビットは、その著書『メガトレンド』の中で、「一つの新しい技術が社会に導入されるごとに、人類は必ず、一種の『精神の高揚』が生まれ、それとのバランスをとる」と書いています。ハイテクが広く応用されている今日の社会では、太極拳は、ハイテクと「精神の高揚」をバランスさせる運動の一つなのです。
――中国武術はこれからどう発展するでしょうか。
徐 1990年に、武術は初めてアジア大会の競技種目になりました。現在、国際武術連盟と中国政府は、武術がオリンピックの正式競技種目となるよう努力しています。
日本の柔道や韓国のテコンドーなど、民族的な競技はすでに、オリンピックの舞台に登場しています。私は、そう遠くない将来、中国の武術と太極拳が、競技種目となるだけではなく、社会的文化的にも人々の注目を集めるのではないかと思っています。
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