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金融街 |
海外から帰ってきた友人が北京を一回りして言った。「北京は巨大な工事現場になったなあ」。彼は欧米を周遊してきたばかりで、世界で最も変化の大きい都市はベルリン、上海、そして北京だろうと言っていた。
彼によると、ベルリンは今、再建の只中にあり、ヨーロッパの巨大工事現場であるという。意気込みにあふれた都市、上海は、10〜20年のうちにアジアの経済や金融、商業、貿易、水上運輸、情報の中心地になる予定。上海は中国最大の工事現場で、世界の約半分のクレーンがここで稼動する。一方、北京は、2008年オリンピックに向け、建設に力を入れている最中だ。
都市には都市の壮大な志があるべきだ。特に中国の都市は、大発展の時代のなかで、多くの壮志をはっきりと示している。北京や上海、広州、武漢などの十数都市は数年前、「国際的な大都市を建設する」という目標を掲げた。このごろ、この目標を掲げている都市は百以上にのぼるという。
しかし最近の評価によると、国際的な大都市になれる可能性があるのは、北京と上海と広州だけである。国際的な大都市というのは、都市人口が500万以上で、その政治や経済、文化の影響力が数万平方キロにおよぶ中心都市を指す。
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商業の中心地のひとつ王府大街 |
上海は中国の経済や金融、商業、貿易の中心となることを目標にしている。広州は華南の政治や経済、文化の中心になろうと構想している。これらに比べ、北京の目標は全国の政治や文化、科学技術、情報、そして国内外の交流の中心となることで、北の経済の中心都市となることでもある。中国の都市ランキング50において、北京の域内総生産は上海に続き第2位だが、都市の総合発展指数16項目のうち、北京は12項目でトップの座についている。
ニューヨークを100%として計算すると、北京の近代化程度は約40%で、2010年ごろには70%に達し、2020年ごろにはニューヨークやパリ、ロンドン、ベルリン、東京、香港と肩を並べるレベルに達すると予想される。つまり、北京が人口1200万を超す国際的な10大都市に名を連ねるには、十数年の時間が必要なのだ。
北京の都市構造は、天安門広場を中心として、東・西長安街とその延長線を横線に、中軸線を縦線にした十字型になっている。西二環路の復興門から阜成門までの一帯にひろがる金融街は金融の中心地で、20余りの大銀行の本社ビルが相次いで建設されている。西単と王府井は最近の大規模な改築を経て、国際レベルの商業の中心地となる。
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前門大街 |
東三環路の両側と大使館区を取り囲むエリアには、オフィスビルが林立する千万平方メートル以上のビジネスの中心地――中央商務区(CBD)が建設されている。亜運村(アジア村)一帯には高級なビジネス・居住区が建設されている。これらが北京の中心区だ。
南北を貫く中軸線沿いには、天壇や前門の箭楼、故宮、景山、北海、鼓楼・鐘楼が分布していて、北京で最も重要な歴史文化の景観であり、重点的に保護しなければならない地帯だ。このほか、前門や朝陽門外、公主墳、馬甸、海淀黄荘は副次的な商業中心区となるだろう。
居住区について言うと、四環路と五環路の間の、北京の中心区をぐるりと一周するエリアには、9つの居住区が建設されている。そのなかには回竜観、北苑、望京新城など、いずれも千万平方メートルを超える大型住宅地が含まれ、完成したら300万人以上が生活するようになる。特に30万人の収容を計画している望京新城は、北京の副都心になり、それに中央商務区から東北に向かって延びるエリアも住宅地となる。しかしこのあたりの建設はまだ追いつかず、今のところは北京の「臥城」――交通が不便で、外に出るのが困難な地になっている。
千平方キロの市街地を建設する中で、北京は道路や橋、居住区の建設を同心円状に拡大し続けている。こうして、1500万人を擁する都市の壮志を見せつけているのだ。同時に、環境汚染や企業の再編、流動人口の増加と闘っている。北京はどんな都市になるのか? その未来をしっかりと描ける人はいない。
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