文物がもたらす苦楽
楊桂梅さん

 37歳の楊桂梅さんは、中国国家博物館展覧一部陳列一室の主任である。展覧会を行う際の、連絡や調整、文物のチェック、展示室の飾りつけなどが彼女の仕事だ。業務上、深夜12時までかかって展示物の説明を整理したり、真夜中の2時に博物館の入り口で文物が運ばれてくるのを待つようなことも度々ある。「中国国家博物館は国内外のさまざまな組織と共同で大型の展覧会を頻繁に開催しています。私は展覧会がスムーズに行われたかどうかに責任を負うだけでなく、展示物の安全も確保しなければなりません。精神的なプレッシャーが大きすぎて、つらいときもあります」と楊さんは言う。

 だが、この仕事ならではの楽しみもある。北京大学考古学部を卒業した楊さんは、中国国家博物館の資源をフルに活用して、自分の好きな春秋戦国時代の文物を研究することができる。「ここは国家クラスの総合博物館で、さまざまな時代や地域文化を代表する文物の逸品が集まっています。ここで文物を研究できる自分は、まさに水を得た魚というものです」。さらに、自分の手で直接すばらしい文物に触れることができるだけでなく、まだ公開されていない文物を誰よりも先に見ることができるのも、楊さんにとって非常に大きな喜びである。

 現在、中国国家博物館では増築工事が進められている。同館成立百周年の2012年までに、館収蔵の文物を百万点に増やし、展覧室の面積を現在の6万5000平方メートルから20万平方メートルまで拡張する予定である。「その時になったら、仕事はさらに忙しくなるかもしれませんが、勉強する空間も広がっていくでしょう」と語る楊さん。その日を心から待ち望んでいることだろう。

 写真・劉世昭 文・沈暁寧

 
 

 
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