邱先生の24式太極拳講座 @
邱慧芳=講師 魯忠民=写真


始まりの型 馬のタテガミを分ける

      頭を上げて顔を正す、肩を沈めて肘を垂らす、
      胸に含みをもたせて背の力を抜く、腰を緩めて背を正す。
      上下の動きを関連させる、円く緩やかに動く、
      一心に感じて悟る、続ければ必ず成果あり。

   読者の皆さんの熱い要望に応え、今月号から誌上で太極拳講座を開催します。講師は全国的な大会で何度も優勝経験がある邱慧芳先生。さあ、みんなで太極拳を学びましょう。(本誌は1979年と96年にも太極拳を連載しました。参考にしてください)

   この講座で皆さんに教えるのは「24式太極拳」です。これは伝統的な太極拳を簡素化したもので、24の基本動作からなっています。

 まずは「意念活動」について説明します。意念とはイメージすることです。太極拳は意念を重んじ、意念を用い、意念を修練します。心理活動を通して生理的変化を引き起こし、心身の修練と健康を実現するのです。一般の24式太極拳の解説本はこの内容が不足していますので、ここでは意念活動についても説明していきます。動作説明の後にオレンジ色で記したのが意念活動です。

準備:心を静め、「百会」(頭頂部)から「湧泉」(足裏の中心よりやや前)や両手の指先まで、熱いものが流れていることをイメージし、全身をリラックスさせる。


一 起勢 始まりの型
@左足を開いて立つ

 @ 自然な姿勢でまっすぐ立つ。左足を開いて両足の幅を肩幅と同じ広さにする。つま先はまっすぐ前に。両腕は自然に垂らして両腿の外側に置き、指先は下に向ける。前方を見る。

 「ダン中」(左右の乳首を結んだ線の中央)の「気」が、「丹田」(ヘソ下)を経て身体の中軸線に沿って下がっていくとイメージ。左足を開いたあと、両足は地面と磁力のように引き付けあい、木が大地に固く根を下ろしたようにしっかりと地を踏みしめる。


A両腕を前に上げる

 A 両腕をゆっくりと前に肩の高さまで持ち上げる。手のひらは下に向ける。

 背中の「気」が「尾閭」(尾骨の先端)まで下がっていくとイメージ。尻を収縮させ、腰の「命門」(ヘソの真後ろ)をはって、両膝、股の力を抜く。同時に肩を沈ませ、勁(力)が手の甲を貫き、10本の指が熱くなって膨らむようにイメージする。中指が勁を導いて、腕が自然に持ち上がる感じ。

B膝を曲げ両腕を押し下げる

 B 上体をまっすぐに保ち、両ひざを曲げ姿勢を低くする。同時に両腕を軽く押し下げる。

 全身の「気」が足もとまで下がり、両手のひらは水の中の浮きを押さえるようにイメージ。肩を沈ませ、肘を垂らし、身体をゆるめる。全身の重み使って押し下げ、手のひらに力を伝える。

二 左右野馬分ゾン 馬のタテガミを分ける
@球を抱え左足を引き寄せる

  @ 上体を右にまわしながら、重心を右足に移す。同時に右腕を胸の前に引きよせ、手のひらを下に向ける。左手は弧を描いて右下におろし、手のひらを上に向ける。両手の間に球を抱えているような感じに。左足を右足の内側に引き寄せ、つま先を地につける。右手の方向を見る。

 「気」が右の足もとまで下がっていくことをイメージ。右足の付け根をやや収縮させて勁を留め、左の尻と足の付け根の力を抜く。「百会」で全身を上に持ち上げ、身体をまっすぐにし、左の腿とすねを収縮させる。左足を引き寄せる動きと両腕の動きは一本の糸でつながれているように一息に。

A体をまわし左足を踏み出す


  A 上体を左にまわしながら、左足を左前方に踏み出す。右足は自然に伸ばして「左弓歩」(左足の膝を曲げて、やや突き出し、右足は後ろに伸ばす姿勢)になる。同時に左右の手をそれぞれ左上、右下にゆっくりとかき分け、左手は目の高さに置き、肘をやや曲げる。右手は右腰のあたりに置き、肘をやや曲げる。左手の方向を見る。

 背中の右側の「腎兪」(腎臓の後ろ)を沈ませ、左足を支えるようにして前に一歩踏み出す。股の間で大きな風船が膨らんでいるようにイメージ。勁を右足に入れて地面を踏みしめ、「命門」をはって「尾閭」を前に出す。勁が背中を貫通して左腕と右の手のひらに注がれ、全身が上下、左右、前後に膨らむような「気の感覚」がある。


B球を抱え右足を引き寄せる

 B 上体をゆっくりと後ろに引き、重心を右足に移す。左足のつま先を持ち上げ、やや外側に開く(45〜60度)。左足をゆっくりと踏みしめ、身体を左にまわし、重心を左足に移す。同時に左の手のひらを下に返しながら胸の前に引きよせる。右の手のひらは上に返しながら弧を描いて左下におろす。両手の間に球を抱えているような感じに。右足を左足の内側に引き寄せ、つま先を地につける。左手の方向を見る。

 @ と同様で左右逆。

 


C体をまわし右足を踏み出す

 C 右足を右前方に踏み出し、左足を自然に伸ばし「右弓歩」になる。同時に左右の手をそれぞれ左下、右上にゆっくりとかき分け、右手は目の高さに置き、肘をやや曲げる。左手は左腰のあたりに置き、肘をやや曲げる。右手の方向を見る。

 A と同様で左右逆。



D左足を開いて立つ
  D @の動作を繰り返す。
 
  E Aの動作を繰り返す。
E両腕を前に上げる

  プロフィール】 邱慧芳 1975年生まれ。以前は北京武術隊に在籍、現在は北京理工大学体育部の講師。2003〜04年に3回訪日し、日本武術太極拳連盟で教えた。99年第5回世界武術選手権大会太極拳部門、02年中国全国武術選手権大会太極拳部門、03年同大会太極剣部門など数々の大会で優勝している。

 
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