最近、中国国内のインターネット上で、中国医学は必要か否かという論争が沸き起こった。この動きの発起人、中南大学科学技術・社会発展研究所の張功耀教授によれば、中国医学は西洋医学に比べ、唯心論的、迷信的要素が多すぎるため、徹底的に廃止することが中国の伝統文化の改善になるという。彼の論点は、各界から反発を受けた。
中国科学技術大学の朱清時学長は、「中国医学は、人間の身体機能の全体的なバランスを調整することによって病気を治すもので、中国医学の陰陽五行説は、人体の複雑な系統が互いに影響しあっていることを説明するものである。これは西洋医学の病原を取り除く対抗療法とはまったく異なった医学理論である。そのうえ、鍼灸やマッサージなど中国医学特有の治療手段は、西洋医学では治すことのできなかった数多くの病気を治癒してきた。中国医学はアジアで広く行われているだけでなく、西洋医学を生んだ欧米諸国においても次第に認められ、重視されつつある」と考えている。
論争が生まれた背景には、近年の中国医学の低迷がある。統計によれば、著名な中医の数は1980年代の5000人余りから、500人足らずまで減少。その主な原因は、西洋医学の診断、化学分析、管理基準によって中国医学を評価する現行の医療管理制度にある。このため、少なからぬ中国医学者が、中国医学を救うため、独立した中国医学の管理システムと専門病院を建設すべきだと提起している。