北京に住む黄おばあさんは、週末になると娘婿の運転する新車に乗って出かけ、デパートをぶらつく。イトーヨーカ堂が日本資本であることも、パークソンがマレーシア資本の店であることも、娘婿のシトロエンがフランス車であることも知らない彼女だが、これらの舶来品がもたらす喜びを実感として楽しんでいる。
2001年に中国がWTOに加盟して以来、より多くの人々がそこから実益を得られるようになった。外国商品がどっと入ってきたことで、ショッピングの選択肢はより豊富になった。関税の引き下げによって、グローバルブランドの化粧品やファッション、自動車を手にいれたいという夢も現実となった。外資系機構の進出は、先進的な管理やサービスの理念を提供してくれた……国家統計局の調査によれば、98.8%の北京市民が、WTO加盟は、消費者に利益をもたらしたと考えている。
WTO加盟の際の約束に従って、中国は5年間で関税率を9.9%まで引き下げた。国内191社の外資系銀行が内国民待遇を享受、人民元業務の取り扱いが許可された。同時に、WTO規則に合わせて、2300条項あまりのさまざまな法律と法規を修正あるいは廃止した。
これに対し、北京対外経済貿易大学WTO研究院の張漢林院長は「利益を分かち合うことだけではなく、国内の改革を国際規則の軌道に乗せ、所有制度の平等を実現し、中国をグローバル化の世界に導くことにこそ、WTO加盟の意義がある」と考えている。