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『満城尽帯黄金甲』 |
国家広播電影電視(ラジオ・映画・テレビ)総局は今年初め、若手監督の映画作りを援助する計画を打ち出した。これにより、現代社会のリアルな生活を低コストで撮る若手監督を支援するとしている。
第一回の資金援助を受けたのは、近ごろ国際映画祭で高い評価を得ている
賈樟柯(『三峡好人』)
王小帥(『北京の自転車』)
陸川(『ココシリ』)
徐静蕾(『見知らぬ女からの手紙』)
馬儷文(『私たち』)
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『山の郵便配達』 |
など16人。彼らの新作づくりをサポートするため、各作品に50万元が援助される。資金の有効期限は3年間だ。多くの人はこの援助計画について、最近の時代劇大作が不評を買っている状況を反映したものだとみている。
2006年、『夜宴(バンケット)』や『満城尽帯黄金甲』などの時代劇大作は、相次いで高い興行収入を獲得した。とくに『満城尽帯黄金甲』は、『HERO』が記録した中国映画の最高興行収入を超え、3億元に達した。
しかしその一方、観客や評論家たちの評価はあまりよくなかった。見た目は華やかだが、内容に乏しく、現実とかけ離れていると評されたのだ。しかも今年初め、上記二作品はアカデミー外国語映画賞のノミネート作品に選ばれなかった。これにより人々は、中国映画はいくつかの大型商業映画にたよって外観を取り繕うだけでいいのかと考えるようになった。
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『ココシリ』 |
実際のところ、中国には優秀な若手監督や脚本家が少なくない。ただ彼らは、張芸謀や陳凱歌とは違って、投資者や配給者を探すのが難しい。
張芸謀の『HERO』から、投資者や配給者は時代劇大作が儲かることに目をつけ、大量の資金をこの種の映画に投じるようになった。映画館も一番よい上映時間をこの種の映画にあて、上映期間も長くした。これに比べ、若手監督たちの低コスト作品は興行収入を見込めないとして冷遇された。
賈樟柯の『一瞬の夢』や『三峡好人』は、中国国内で資金援助を受けることが難しく、彼の作品の何作かは、日本のオフィス北野の支援を受けて製作されている。しかし、資金の獲得よりもさらに難しい問題がある。それは上映だ。
東京国際映画祭で好評を博した『私たち』が中国国内で上映されたときは、多くの映画館が興行収入はふるわないだろうとみて、上映時間を昼間に設定。おかげで、勤め人たちは観に行くことができなかった。
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『私たち』 |
霍建起の『山の郵便配達』も同じだ。この芸術的な美しい映画は、日本でのヒットを受けてようやく中国でも注目された。宣伝が足りなかったため、中国でいつ公開されたか覚えていない人も多い。
こういった状況からみると、広播電影電視総局が若手監督を援助するという計画は、今まさに必要であることがわかる。しかも、資金援助だけでなく、宣伝と配給の面でも優遇するとしている。中国映画の多元的な発展が期待できるかもしれない。
20世紀の終わり、韓国は韓国映画の復興を画策し、そのおかげで新しい映画人・作品が生まれた。中国の今回の援助計画も、中国映画が健全に発展する手助けとなってほしい。 |
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