チャイナ・ストリーム
China Stream


「日中スーパーライブ」 十代を熱狂させたJポップ
                                                                         高原=文

「僕らが生きる MY? ASIA」をデュエットした紀敏佳(左) と後藤真希(写真提供 NHK)

 2007年は中日文化スポーツ交流年である。そのオープニングイベントとして、3月13日に「日中スーパーライブ(中日超級歌会)」が行われ、広く注目を集めた。このライブには、日本のアーティストの後藤真希、中孝介、平原綾香、アイドルグループのw-inds、中国で人気のニューフェイスの紀敏佳、韓雪が参加した。

 ライブは北京展覧館で行われ、3000席が満員となった。観客は主に30歳以下の若者で、とりわけ十代の女子学生が目立ち、その多くはw-inds目当てで来たという。なぜならライブに参加した日本のアーティストの中で、中国で最も多くのアルバムが発売されているのがw-indsだからだ。ライブが始まる前から、ステージの大きなスクリーンにw-indsを紹介する短いフィルムが流れた途端、客席から耳をつんざくばかりの叫び声が湧き上がり、一面に蛍光棒が光り輝き、思い切り盛り上がった。

 驚いたことに、まだ中国ではCDの発売されていない平原綾香も、観客の熱烈な歓迎を受けた。客席からは、絶えずどこかたどたどしい日本語で「あやか!」と叫ぶ声が飛んだ。

中国のファンたちもよく知っている「未来へ」を合唱するアーティストたち(写真提供 jamic)

 初めて中国で歌った平原綾香は、それを聞いてステージで涙を流した。中国に来たのは初めてなのに、まさかこんなにたくさんのファンがライブに来てくれて、これほど歓迎してくれるなんて思っても見なかった、と彼女は言う。

 近年、韓流ブームが中国を席巻してはいたものの、若者たちはずっと日本のエンターテインメント情報をチェックし続けていた。十代の子供はアニメの声優のCDを好み、もう少し年齢がいくと、「ビジュアル系」やパンクロックを好む人が多い。中国の若者の日本の流行文化への理解は、日本人の想像を遙かに超えているかもしれない。そのため、このようなライブでは、中国で初ライブの平原綾香、後藤真希に向かいあっても、彼女たちのことを知らないわけではなく、非常に身近な存在なのである。

 「日中スーパーライブ」の2日後、2007年日本映画祭もまた、北京でもっとも賑やかなショッピングエリア・王府井で幕を開けた。二日前のライブ同様、この映画祭も主に「青春」を打ち出している。日本とほぼ同時期の上映となる『天国は待ってくれる』、田中麗奈主演の『がんばっていきまっしょい』、『HINOKIO』など、いずれも現代の日本の若者の日常生活が描かれた作品が上映された。

日本映画祭会場(写真・銭海澎)

 中国の若者たちにとって、これまでDVDで見てきたのは、黒澤明、小津安二郎らの時代の昔の日本映画ばかりで、青春の息づかいあふれる新しい映画は、とても新鮮に感じられるものであった。

 こうした交流イベントにおける日本のアーティストたちの真摯なパフォーマンス、日本映画の唯美主義的な映像は、中国の若者たちの心にすばらしい印象を深く刻み込んだ。今後、日本においても中国の一連の文化、スポーツイベントが相次いで開催される。中国のアーティスト、中国の映画、音楽もまた、日本の若者たちにも感動を与え、両国の人々の理解と友情をさらに深めてくれることを願いたい。

 


書籍情報

『秋瑾――競雄女侠伝』 永田圭介・著  聞立鼎・訳

 秋瑾は中国近代における民主革命に献身した最初の女性革命家であり、今年は彼女の没後百周年にあたる。秋瑾の革命人生は、彼女が日本の地を踏んだところから始まった。そのころ、東京は各国の革命青年が集まっている場所であった。日本での留学経験は秋瑾に重大な影響を及ぼした。

 本書は、わかりやすい筆致で秋瑾の一生を語るもので、とりわけ彼女の日本における留学生活と革命活動についてより深く描かれている。これは、これまでの同様の伝記においてあまり見られないものである。(群言出版社 2007年1月出版)

『出使東瀛』  楊振亜・著

 著者は1988年から1993年まで、中国の駐日本国大使を務めた。その間、竹下首相と李鵬総理の相互訪問、日本の対中制裁、江沢民総書記の訪日、明仁天皇の訪中など、中日関係史上、重要な事柄が相次いだ。

 著者は、旧知の竹下首相とのパイプを使い、この困難な時期に、中日関係の改善のため、大きな役割を果たした。さまざまなエピソードや裏話で綴られた回想録は、中日友好関係の大切さとその実現の難しさを語っている。 (上海辞書出版社・漢語大詞典出版社2007年1月出版)

『紅孩子』  春樹・著

 春樹は、1983年生まれ。中国の新世代作家の代表的人物の一人であり、作品には若者の「残酷な青春」が描かれることが多い。代表作『北京ドール』は、アメリカ、イギリス、日本など二十数カ国で翻訳出版された。

 『紅孩子』は彼女の最新作。『北京ドール』のヒロイン林嘉芙の小学校・中学校時代の、反逆的な女の子になる前の物語である。前作に比べると春樹の一貫した反逆的な姿勢はいくらか和らぎ、「静かに物語を語る人」となっている。 (21世紀出版社 2007年1月出版)


その他のおすすめの人気書籍

1、『一生守候』 馬季・遺著 団結出版社

2、『工作DNA』 カク明義・著 海南出版社

3、『刺筮歌』 張イ・著 人民文学出版社

4、『一日沙門』 馬明博・著 当代中国出版社

5、『西蔓美麗観点』 于西蔓・著 中信出版社

6、『徐滔説案 買房租房・物業』 徐滔・著 人民出版社

7、『我家招牌好菜』 温玲玲・著 広東経済出版社

8、『1904−1948歳月東北』 秦風・著 広西師範大学出版社

9、『I陂・I陂―一個画家的古村落図記』 雷子人・著 山東人民出版社

10、『空谷幽蘭―尋訪当代中国隠士』 
  (米)比爾・波特(ビル・ポーター)・著 当代中国出版社
 

 
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