2008年五輪ヨットレース開催地―青島C
青島の美食
文=李莎 写真=張岩

お酒と音楽が寄り添うテラス―青島の人々は夏を喜び、エンジョイする

 青島は、青い海と空、赤い瓦と緑の木々によって各地からの旅行客を引きつけているが、新鮮で美味しい海の幸、青島ビールと豊富な美食もまた、各地からの賓客と友人たちを魅惑する。

 現代中国の著名な作家・梁実秋(1902〜1987年)は、『憶青島』に記している。「青島の海の幸は種類が揃っている。例えばハマグリ、カキ、エビ、カニからさまざまな魚まで何でもある」。確かに、青島では高価で貴重なナマコ、ホタテ、アワビ、サザエ、クルマエビ、マダイなどが豊富に取れるため、青島料理は主に海の幸が主となっている。伝統的な青島の宴席には凝った形式がある。料理は冷たいものから熱いもの、塩辛いものから甘いものの順序で運ばれ、すべての宴会に魚が饗される。ナマコが出なければ、盛大な宴会とはいえない。海の幸を食べるには、春と夏が一番いい季節だ。この時期の海の幸は口当たりが良く新鮮で、栄養もたっぷりである。

 青島には山東風味のさまざまな美食と軽食がある。小麦粉を使ったものの中には、北方ならではの濃厚な風味の、熱々の餃子がある。青島には名シェフが一堂に会し、山海の珍味が集まっている。さらに国内外で誉れ高い青島ビールが加わると、味わいは尽きない。もしもホテルをごうごうと波打つような勢いと豪邁さのある「海」にたとえれば、軽食の屋台街は麗しさと深い感銘を与えるストーリーにあふれる「渓流」にたとえられるだろう。青島の伝統的な軽食は百年の歴史があり、屋台街で思う存分に味わうことができる。「劈柴園」は青島の有名な軽食のブランドである。さらに大麦島の海鮮ストリート、雲宵路中苑グルメストリート、台東ビールストリートなどがあり、各地の風味を集めた、グルメパラダイスである。

魅惑の海鮮鍋

 海の幸はすばらしいが、毎食そればかりを食べるわけにはいかず、野菜も不可欠である。梁実秋も『憶青島』の中で青島の蒲菜(ガマの若芽で食用となる)と白菜がいいとほめている。「青島の蒲菜は特に太く、スープにするとさっぱりとして美味しい」。蒲菜は、水のある湿地に生え、真っ白でサクサクとして食べやすく、美味である。青島のどの野菜も海の幸と組み合わせると、栄養的にも味も最高である。

 梁実秋は若いころに西洋へ留学し、西洋料理も好んだ。青島は、中国で最も早く西洋料理のレストランが存在した都市の一つである。かつて中山路に、ドイツ人が開いたレストランがあった。梁実秋はそこのビーフステーキを気に入って度々足を運んだ。「ここの牛肉こそ国内で一番だと私は思っている。分厚くて大きなビーフステーキは、周りはこんがりと焼けているが中は柔らかく、ナイフを入れると血がしたたる。上にはぷりぷりした目玉焼きが載っていて、フライドポテトも添えられている」。遙か遠くからやってきたドイツ人が、梁実秋を敬服させるようなすばらしいステーキを青島で作ることができたのはなぜか。技術、そしていい食材が揃っているからである。


  青島は牧畜地区ではないが、20世紀の初めごろから街には西洋料理店があり、郊外の農村にはレストランと契約して専門で牛を飼育する農家も現れた。この牛たちは犂を引いて土地を耕したりすることはない。一日中のんびりと草を食み、売りに出される前に豆など栄養のある飼料を与えられるため、よく肥えてしっかりした体で、臭みもなく、ビーフステーキにふさわしいすばらしい味になる。「青島には美味しい物がたくさんあるが、牛肉が何よりもすばらしく、国内外で販売されている」。これは梁実秋の青島のビーフステーキに対する評価であり、青島の西洋料理の正統たる所以である。

 大陸を離れて数十年、台湾やアメリカで多くの歳月を過ごした梁実秋は、『憶青島』を書くことで、募る郷愁を紛らせた。彼の「食べることについて語った」あらゆる文章は、あっさりと上品な味わいで、ノスタルジーたっぷりに、読むものをうっとりさせるほどに、青島の美食を恋い慕っている。



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